Vertiv Holdings CoVRT

時価総額
$639.9億
PER
データセンター・通信網・産業向けミッションクリティカルインフラの大手。AC/DC電源、熱管理、統合ラックやライフサイクルサービスを展開。2023年12月に液冷技術を買収。世界各地で300超のサービスセンター・約4,000名のサービスエンジニアを配置。

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企業概況
106文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
4項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Vertiv Holdings Coは、データセンターや通信施設、商業・産業向けに重要なデジタルインフラを設計・製造・保守する事業を行う企業です。同社は電源管理や冷却、配電・ラック・統合モジュール、運用管理ソフトなどを軸に、導入からライフサイクルにわたるサービスを一貫して提供しています。

顧客はクラウド事業者や大手コロケーション事業者、通信会社に加え、政府機関や製造・輸送・エネルギー関連の産業企業まで幅広く分布しています。同社の収益は製品販売が中心ですが、定期保守やリモート監視、ソフトウェア契約などのサービス収入が継続的なキャッシュフローを支える安定要素になっています。

事業は地理的に米州、アジア太平洋、欧州・中東・アフリカの三地域で管理し、それぞれの市場ニーズに応じた供給体制を敷いています。製品ラインは電力と冷却の機器、配電設備、ラックやモジュール型ソリューション、管理ソフトおよび部品・保守サービスで構成され、グローバルな製造拠点とサービス網で顧客の稼働率確保に注力しています。

経営方針

同社は成長を売上と利益の両面で加速させることを目指しています。2024年の売上高は約80.1億ドル($8,011.8百万)で前年から16.7%増加し、粗利率は36.6%に改善しました。地域別では米州が$4,500.6百万、アジア太平洋が$1,717.8百万、EMEAが$1,793.4百万と、各地域での拡大が寄与しています。営業利益も大きく改善しており、2024年の営業利益は$1,367.4百万、純利益は$495.8百万となっています。株主還元では取締役会が最大30億ドルの株式買戻し枠を承認し、2024年には約$599.9百万の自社株買いを実施、四半期配当も2024年11月に1株当たり$0.0375へ増額しています。

同社は競争優位をつくるために重点的に設備とサービス網へ投資しています。2021年にE&Iを取得して以来、分電・バスバー・統合ソリューションの製造能力をほぼ倍増させ、2024年にはインドのプネーや米サウスカロライナのPelzerといった新工場を開設しました。サプライチェーン面では地理的な回復力を高めるために米国内での調達・生産基盤を強化しており、世界約300拠点のサービスセンターと約4,000名のサービス技術者を通じた現地サービス提供を差別化要因としています。また、運用面ではVOS(Vertiv Operating System)によるリーン手法の全社展開で生産性と納期対応力を高めています。

新市場開拓と事業拡大では、特にAIやハイパフォーマンスコンピュート分野を成長の柱と位置付けています。AIワークロードによる高密度冷却需要を取り込むため、液冷を含む熱管理ポートフォリオを拡充し、2023年に液冷技術を有するCoolTeraを買収するなど技術・製造面での取り込みを進めています。製品売上は$6,245.2百万、サービス・保守売上は$1,766.6百万と、サービスによる継続収益基盤も確立しており、将来の大口顧客(クラウド/ハイパースケールやコロケーション事業者)向けに地域ごとの供給能力を拡大していく計画です。繰延収益は2024年末で現行分が$1,063.3百万、長期分が$91.3百万あり、保守・サポート契約が中長期の収益安定に寄与しています。

技術革新への取り組みは研究開発投資と製品チェーン全体の最適化に集約されています。2024年の研究・開発費は$352.1百万を計上し、チップ側から放熱・再利用に至る「熱のチェーン」を最適化する商品や制御技術に注力しています。ソフトウェアと監視サービスも強化しており、ソフトは譲渡時に収益認識、監視サービスは時間経過で認識する会計方針の下で、遠隔監視や省エネ制御を組み合わせたソリューション開発を進めています。さらに設備投資は2024年に約$184.1百万、2025年は$250〜$300百万を見込んでおり、キャパシティ増強と新技術の量産化を同時に進めることで市場のニーズに迅速に応えることを目指しています。