VERISIGN INCVRSN

時価総額
$227.1億
PER
ドメイン名レジストリとDNS運用サービスの世界最大手。高耐久なグローバル分散サーバによるDNS解決とセキュリティを展開。2018年に一部資産をNeustarへ売却、2024年にICANNとのレジストリ契約更新のイベント。米国中心のグローバル展開。

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企業概況
101文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Verisign Inc.はインターネットの根幹を支えるドメイン名管理と解決の事業を行っており、特に「.com」「.net」など大規模なトップレベルドメインの登録データベースを運営しています。同社はドメイン名をIPアドレスに変換する仕組み(DNS)と、その可用性・安全性を維持するための大規模なサーバー網や運用体制を運営しています。

主要な顧客はドメイン登録業者(レジストラ)、企業や組織、個人のドメイン名登録者で、収益は登録維持料やレジストリ契約に基づく継続的な手数料が中心です。同社の収入は定期的で予測しやすく、インターネット上の識別基盤を長期的に管理することで安定したキャッシュフローを確保しています。

事業は大きく分けて自社で運営する主要ドメインのレジストリ業務、他社向けの技術的なバックエンドサービス、及びDNSの安定運用やセキュリティ対策に関するサービスに区分されます。また、24時間体制の監視や災害対策、レジストラ向けのツール提供やマーケティング支援、将来の脅威に備える研究開発にも力を入れています。

経営方針

同社は長期的な収益成長と株主還元の両立を目指しています。ドメイン登録事業(主に .com、.net、.cc)での需要拡大を成長の中核に据え、国内外のレジストラ(ドメイン販売業者)を通じた集客やターゲットを絞ったマーケティングで登録数の底上げを図っています。同時に資本配分では自社株買いを積極活用しており、2024年7月に取締役会は追加で11.1億ドルを承認して総額15.0億ドルの買い戻し枠を設定しました。2024年通年では約660万株を平均買付単価183.84ドル、総額約12.256億ドルで買い戻しており、従業員向けの株式報酬による希薄化(未確定のRSUは約0.7百万件で潜在希薄化は1%未満)を相殺する形で株主価値の維持を図っています。

同社はサービスの「安全性・可用性・信頼性」で差別化することを目指しています。世界各地に分散配置した高速サーバーや冗長化されたネットワーク、ミラーリングによるデータ保護といったインフラ投資を継続しており、主たる拠点としてバージニア州のReston、本社近辺とデータセンター(New Castle、Dulles)を保有しています。サイバー対策には外部の脅威情報や侵入テスト、レッドチーム演習を組み合わせ、NIST相当の枠組みで脆弱性管理や事象対応を実施するほか、最高セキュリティ責任者(CSO)や取締役会のサイバー委員会が監督しており、こうした体制をもって大規模な攻撃や障害に耐える運用を目指しています。

同社は新市場の開拓と事業拡大にも注力しています。国際展開では多言語(IDN)や新gTLD(新しいトップレベルドメイン)への取り組みを進め、各国の販売チャネルや現地アカウント管理体制を通じて利用者基盤を拡大することを目指しています。併せてバックエンドの技術提供や付随サービスの展開、場合によっては買収やライセンス導入も検討することで収益の多様化を図る方針です。ただし、.com/.net等の運営はICANNとの協定に基づく価格や販売方法の制約を受けるため、規制環境を見極めつつ戦略を実行しています。

同社は技術革新を通じて競争優位を維持することを目指しています。研究開発や社内のイノベーション・パイプラインに投資し、DNSの登録・解決インフラや脅威対策技術の強化を進めています。社内開発を主軸にサプライヤーや業界コミュニティと協働しながら新プロトコルや運用改善を取り込む方針で、特許取得や知的財産の保護も行っています。財務面では短期国債等の安全資産(2024年末時点で約3.93億ドルの固定収益証券)を保有しつつ、研究開発・インフラ投資と株主還元のバランスを取っていくことを目指しています。