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Viridian Therapeutics, Inc.\DEVRDN
事業内容
Viridian Therapeutics, Inc.は、自己免疫や眼疾患を対象とした生物医薬品の研究・開発を行う臨床段階のバイオテクノロジー企業です。主力プログラムは甲状腺眼症(TED)などを標的とする抗体候補で、veligrotugやVRDN-003などの臨床開発を中心に事業を進めています。
同社の現状の収益柱は商用製品の販売ではなく、開発やライセンス契約に基づくマイルストーン収入や共同研究収入、そして公募や私募による資金調達に依存しています。将来的には承認後の保険償還や販売提携、ロイヤルティ収入を通じた商業収入を目指しています。
事業は主に研究開発と臨床試験、外部委託による製造管理に分かれており、複数の候補薬を段階的に進めています。製造は自社で行わず外部の受託製造業者(例:WuXi Biologics)に委託し、商業化に向けては戦略的パートナーシップや自社販売の選択肢を検討しています。
経営方針
同社は「重篤で希少な疾患領域においてベストインクラスの医薬品を開発・商業化する」ことを成長の柱に据えており、その実現に向けて臨床開発の加速と資金基盤の強化を図っています。具体的には2024年の研究開発費は約2.16億ドル、同年の営業費用は約2.99億ドル、純損失は約2.70億ドルとなっており、開発投資を優先する姿勢が明確です。財務面では2024年に公募で約4.09億ドル(1月約1.5億ドル、9月約2.59億ドル)を調達し、ATM(随時売却)を通じた売却でも年間で約6,770万ドルを得るなど、開発継続に必要な資金を積極的に確保しています。なお、時価総額は2024年6月28日時点で約7.32億ドル、発行済株式数は2025年2月20日時点で81,484,950株です。
重点投資分野としては、眼疾患や自己免疫領域での候補品群—例えば抗IGF‑1Rを標的とするveligrotugやVRDN‑003、またFcRn阻害をめざすVRDN‑006/VRDN‑008など—に資源を集中させ、既存治療に比べて有効性や安全性、投与の利便性で差別化することを目指しています。差別化の手段としては大規模な臨床開発への投資や外部とのライセンス・共同開発(例:Enableとの契約で前払金1500万ドル、開発・商業化の成功に応じたマイルストーン最大195百万ドルおよび中程度のロイヤルティ)を活用しており、研究段階から商業化までのリスク分散を図っています。一方で製造は自社で行わず外部の受託製造機関(いわゆるCDMO)に依存しているため、主要サプライヤー(現状は単一の多拠点業者)からの供給リスクを低減するために供給網の多様化や一部工程の移管といった具体策を進めています。
事業拡大に関しては、新市場の開拓と商業化手法の柔軟化を図っており、承認後の販売体制は戦略的パートナーや流通業者の活用、コントラクト販売、あるいは自社による専門販売部隊の構築といった複数案を評価しています。また、研究・開発拠点の整備や人員拡充も進めており、ボルダー(コロラド州)で7,117平方フィートの事務・研究スペースを確保するなど拠点強化を行っています。従業員は2024年末時点で143名おり、人材獲得の競争が激しいボストン圏を主拠点に、報酬や株式インセンティブを通じて優秀な人材の確保と定着を図っています。
技術革新への取り組みとしては、新規作用機序を持つバイオ医薬品や薬剤と機器を組み合わせた複合製品の開発に注力し、非臨床からIND(治験申請)準備、臨床試験まで一貫して開発を推進しています。独自の知財管理や機密保持契約を通じて技術を守るとともに、外部パートナーとのライセンス契約や共同開発で専門技術を取り込み、効率的に技術を実用化する方針です。さらに臨床や製造の外部委託先に対する管理を強化し、供給の安定化と品質維持に向けた具体的施策を講じることで、投資家に対して持続的な価値創出を目指しています。