- 米国企業
- Vontier Corp
Vontier CorpVNT
ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン
- 企業概況
- (106文字)
- 業績概況
- テーマ
- (1項目)
- ブランド
- (2項目)
- ライバル企業
- (1社)
- 同業種の日本企業
- (1社)
事業内容
Vontier Corporationは、移動(モビリティ)領域に特化した産業技術会社で、給油所向けの機器や環境監視装置、車両整備向けの機器に加え、電気自動車(EV)向けの運用・管理ソフトなどを手掛けています。同社はハードとソフトを組み合わせたソリューションを展開し、現場の安全性や効率向上、規制対応を支援しています。
主要な顧客には、独立系や企業系の給油事業者、コンビニ運営会社、フリート(車両)オーナーや整備工場、そしてEV充電ネットワーク事業者が含まれます。同社は設備販売での売上に加え、既設機器の部品販売や保守サービス、定額制のソフトウエア利用料といった繰り返し入る収益を重要な収入源としています。
事業は大きく「環境・給油ソリューション」「モビリティ技術」「修理ソリューション」の3つのセグメントに分かれています。環境・給油は給油所のディスペンサーや漏えい検知、現場制御を中心に、モビリティ技術は充電インフラの運用最適化やデジタルサービスを扱い、修理ソリューションは整備用機器や診断・サービス支援を担っています。
経営方針
同社は長期的な株主価値の向上を目指しています。2024年の連結売上高は約29.8億ドル、営業利益は5.37億ドル(営業利益率18.0%)で、コア売上は前年から1.8%増加しました。一方で買収・売却の影響や為替で総売上は3.8%減少しており、同社は収益性を維持しつつ成長投資と資本還元のバランスを取ることを戦略目標としています。具体的施策としては、取締役会が承認した最大5億ドルの自社株買い枠を活用しており、2024年第4四半期だけで合計170万株を買い戻すなど株主還元を積極的に進めています。
同社は重点投資分野として、環境・燃料関連ソリューション、モビリティ技術、修理関連ソリューションの三領域に注力しています。2024年のセグメント別売上は環境・燃料が約13.6億ドル、モビリティが約10.1億ドル、修理が約6.3億ドルで、特に給油所向けの環境監視や部品・保守のアフターマーケットが安定した収益源になっています。差別化の手段としては大規模な設備の導入実績に基づく定期的な部品・サービス提供、現場向けの決済・業務効率化ソリューション、そして独自の「Vontier Business System」による生産性改善と品質管理を掲げています。研究開発費は2024年に1.78億ドル(売上の約6%)を投じ、製品とソフトウェア両面の競争力強化を図っています。
新市場開拓と事業拡大では、電動車両(EV)充電インフラやソフトウエア型サービスの拡大を明確に打ち出しています。2022年にクラウド型EV充電プラットフォーム「Driivz」を約1.955億ドルで買収したように、同社はソフトウエアやサブスクリプション収入を取り込むことで収益モデルの多様化を進めています。不要あるいは戦略に合わない資産は整理する方針で、2024年には一部事業の売却(Coats事業の譲渡など)を実行してポートフォリオを最適化しました。短期的な受注残(バックログ)は2024年末で約7.02億ドルあり、これを基に地理的展開(約25カ国での事業展開)と既存顧客への付加価値サービス拡充で成長を目指しています。
技術革新への取り組みはハードとソフトの両輪で進められています。ハード面では燃料ディスペンサーや漏えい検知などの環境ソリューションを高度化し、ソフト面ではDriivzに代表される運用管理、エネルギー最適化、課金・ローミング機能やユーザー向けアプリといったクラウドサービスを強化しています。これにより、単発の機器販売だけでなく定期的なサービス収入を増やすことを狙っており、研究開発投資やM&Aを通じて技術的優位性を高めることを同社は目指しています。