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VINCE HOLDING CORP.VNCE
事業内容
VINCE HOLDING CORP.はVinceブランドの男女向けプレタポルテを中心に展開するグローバルなアパレル小売企業です。 同社は直営店舗と自社のオンラインストア、さらに限られた卸売パートナーを通じて衣料品を企画・製造・販売していることが主力事業です。
同社の主要顧客はブランド志向の消費者と一部の大手卸売パートナーで、少数の卸先が売上に対して大きな比率を占めています。 収益は直営店舗・ECでの販売と卸売収入が中心で、2023年に知的財産をABG Vinceに売却した結果、ライセンス契約に基づく事業運営とABG Vinceへの持分投資からの収益が事業構造に組み込まれています。
同社の製品ラインはレディース・メンズのプレタポルテ、スポーツウェア、アウターが中核で、ABG Vinceはライセンスの下で必要に応じてホーム用品やベビー用品などのカテゴリーを拡張する権利を持ちます。 販売チャネル別には直営店、eコマース、選定された卸売チャネルがあり、同社はABG Vinceの25%出資持分を通じてブランド運営に関与し、持分法会計による影響を受けます。
経営方針
同社はP180による2025年の過半数取得(約1,980万ドルの出資)を受けて、収益性の回復と成長の加速を目指しています。成長の資金源としては、2023年にブランド知的財産をABG Vinceに売却して約7,650万ドルの現金と25%の持分を獲得した点や、最大1,000万ドルの新たな公募登録(S-3)や約292.5万ドル分のATM(随時売出し)枠を活用できる点を挙げており、これらを負債削減や営業投資に振り向けることで当面の財務基盤強化を図っています。
同社はブランド運営とチャネル最適化に重点投資をしています。Vinceブランドはライセンス契約を通じて運営されており、同社は年間最低ロイヤルティーの約1,100万ドルや所定の販促・店舗維持要件を満たすことが求められるため、直営店・EC・卸売の重点チャネルに選択的投資を行い、主要ホールセール先との関係維持と店舗効率の改善を通じて差別化を図っています。また、デザインは米国で継続して行い、生産は主にアジアの契約工場に依存するサプライチェーン管理を強化してコスト競争力を保とうとしています。
新市場開拓と事業拡大では、ライセンスの初期契約が10年、さらに8回の10年更新オプションを有することから中長期の事業展開が可能です。同社はABG Vinceや外部パートナーとの協業によるカテゴリー拡大や国際展開の機会を注視しており、関税変動などのリスクに対しては調達先の多様化、戦略的な値付け、サプライヤーとのコスト分担などの具体策を講じています。加えて、P180の経営資源を活用して小売・卸の最適化と販路拡大を進める方針です。
同社は技術革新と内部統制の強化にも取り組んでいます。サイバーセキュリティではネットワーク監視や脆弱性評価、インシデント対応計画、従業員向け訓練やシミュレーション、サイバー保険の導入などを実施しており、金融報告の信頼性向上のためにITアクセス権の見直しやAXシステムの利用者再認証、プロビジョニング/デプロビジョニング手順の改善といった具体的な是正措置を講じています。こうした取り組みにより、同社はオムニチャネル運営と財務情報の正確性を支える基盤の近代化を目指しています。