VALMONT INDUSTRIES INCVMI

時価総額
$78.9億
PER
インフラ・農業機器の最大手。センターピボット式灌漑機、単軸ソーラートラッカー、道路照明・橋梁構造製品を展開。2023年8月に豪州の灌漑企業を買収、2022年6月に米国の5G関連企業を取得。北米・南米・欧州・中国・中東を中心に60カ国以上で展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業

事業内容

VALMONT INDUSTRIES INCは、インフラと農業向けの耐久製品とソリューションを製造する企業です。同社は灌漑機械や関連部品、送電や道路向けの構造物・照明、太陽光追尾装置、さらに鋼のめっきや塗装といった表面処理サービスを主力に事業展開しています。

同社の顧客は農家や農業ディーラー、電力会社やエネルギー開発者、地方自治体や道路・建設業者、通信事業者など多岐にわたります。売上は製品ラインごとに分散しており、特定の一社に依存しない構造で、販売は直販と委託代理店、独立ディーラー網を組み合わせて行っています。

事業は大きくInfrastructureとAgricultureの二つのセグメントに分かれています。Infrastructureでは道路用構造物、街路・高所照明、電力・通信向けの支柱や橋梁部材、コーティングや溶融亜鉛めっきなどを扱い、Agricultureではセンターピボットやラテラル、リニア型などの灌漑機器と、それらを補うモニタリングや自動化などの技術サービスを提供しています。

経営方針

同社は中長期で安定した成長と株主還元の両立を目指しています。具体的には営業キャッシュフローのおおむね50%をインフラ中心の成長投資(設備投資や戦略的な買収)に充て、残り約50%を自社株買いと配当により株主還元に回す資本配分方針を採っています。実際、2014年以降の自社株買いプログラムでは通算で約8.24百万株、約13.34億ドルを買い戻しており(2024年12月28日時点)、ボードは2025年2月に買戻し枠をさらに7億ドル拡大しました。配当面でも四半期配当の継続と、四半期0.68ドル(年換算2.72ドル、約13%超の増配)などを通じて安定的な還元を図っています。受注残高(バックログ)は2024年末で約14.37億ドルあり、これが短期的な売上・キャッシュの基盤となっています。

同社は投資の重点を設備拡充と戦略的買収に置き、これを差別化の柱としています。特にインフラ製品の製造能力を高めるための設備投資を優先し、現地生産による納期短縮とコスト競争力の確保を進めています。加えて、ユーティリティと太陽光(ソーラー)を組み合わせた「フルグリッド」提供や、高品質なコーティングサービス、専用ディーラーネットワークを通じたアフターサービスで競合と差別化しています。実際にインフラ部門のバックログは約12.73億ドル、農業部門は約1.63億ドルと、インフラ寄りの需要が強い点も同社の投資方針を裏付けています。

新市場開拓と事業ポートフォリオの最適化も明確な方針です。同社は近年、5Gインフラや受動相互変調(PIM)低減技術を持つConcealFabや、太陽光トラッカーの事業を持つConvert Italia、豪州の部品流通会社など複数の買収を行い、通信や再生可能エネルギー分野への展開を加速させています。一方で採掘向けの事業や一部被覆(コーティング)関連の売却も行い、資源を高成長領域へ集中させています。財務面では約1.64億ドルの現金(2024年末)と最大8億ドルのリボルビング枠を確保しており、買収や設備投資の資金基盤を整えています。

技術革新については自前の開発と買収による能力統合で競争優位を強化しています。同社はソーラートラッカーや潅漑システム、製造装置などで特許を保有しており、農業向けの遠隔監視や自動化ソリューションといったデジタル技術を製品に組み込むことで顧客の生産性向上を支援しています。さらに5G関連のソリューション導入や製造ラインの効率化に向けた設備投資を進め、サイバーセキュリティやデータプライバシーにもISO27001準拠の運用を取り入れて事業基盤の安全性を高めています。これらは売上拡大だけでなく、顧客のトータルソリューション提供という面での差別化にもつながる取り組みです。