VALLEY NATIONAL BANCORPVLY

時価総額
$60.3億
PER
商業・消費者向け銀行とウェルスマネジメントの大手。資産運用、信託、保険、税額控除助言、プライベートバンキングを展開。2022年4月に米国同業を約12億ドルで買収。ニュージャージー・NYC・フロリダ中心、支店229拠点で展開。

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企業概況
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業績概況
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ライバル企業
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同業種の日本企業
2社)

事業内容

VALLEY NATIONAL BANCORPは地域基盤の金融持株会社として銀行業を中核に展開しています。 同社は預金の受け入れや個人・法人向けの各種融資(商業不動産、建設、商業・産業向け、住宅ローン)に加え、資産運用や信託、証券仲介、保険などの富裕層向けサービスを行っています。

同社の主要顧客はニュージャージー、ニューヨーク大都市圏、ウエストチェスター郡、フロリダを中心とする個人と中小・中堅企業、開発業者や投資家です。 総貸出金の約7割が商業不動産や住宅関連で占められており、収益は貸出から得る金利が中核となる一方、投資有価証券の利息や信託・仲介・保険手数料などの非金利収入も重要な収入源になっています。

同社は事業を消費者向けと法人向けの二つの運営区分で管理し、その他の財務関連業務は別枠で扱っています。 法人向けでは商業・産業ローンやオーナー占有の商業不動産ローンに注力し、リースや専門分野向けの貸し出しも行っています。 消費者向けには資産運用、信託、証券仲介、各種保険、国際・国内の個別銀行サービスや税額控除の助言など多様な商品ラインを揃え、支店網やデジタルチャネルを通じて顧客に提供しています。

経営方針

同社は安定的な収益基盤を維持しつつ、貸出ポートフォリオの質を高めることで持続的な成長を目指しています。2024年末の総貸出残高は約488億ドルで、そのうち約73%が商業用不動産や住宅ローン、ホームエクイティなど不動産担保型の貸出に集中しています。2024年は投資用商業不動産(マルチファミリーや非オーナー占有)および建設ローンの縮小を進め、商業・産業向けローンとオーナー占有の商業用不動産ローンを成長させる戦略を採用しており、商業・産業ローンは約99.3億ドルで総貸出の約20.4%を占めています。なお、2024年の当期純利益はGAAPで約3.80億ドル、調整後純利益は約3.44億ドル、総資産利益率は0.61%、自己資本利益率は5.51%でした。配当は四半期ごとに1株当たり0.11ドルを宣言しており、自己資本比率や規制上の制約に応じて取締役会が将来の配当を判断します。

同社は富裕層向けの資産運用・保険・信託といったウェルスマネジメントを重点投資分野と位置づけ、銀行本体の貸出収益と合わせて手数料型収入の拡大を図っています。ウェルス部門や保険部門により、個人・中小企業向けの投資助言、証券仲介、信託業務、税額控除(タックスクレジット)のアドバイザリーなど多様な収入源を確保しており、2024年末時点で投資有価証券と他行預金は合計約85億ドル(投資有価証券70億ドル、利息付預金15億ドル)に上ります。地域密着のリレーションシップバンキングを差別化要因とし、約229の支店網と広範なATMネットワークを通じて対面サービスを維持しつつ、対面とデジタルを組み合わせた提供で競合との差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大は、買収と地理的多様化を通じて推進しています。直近では2022年にBank Leumi USAを買収し、約85百万株の自社株式と1.134億ドルの現金を対価に取引を完了、これによりニューヨーク・フロリダなど西海岸を含む拠点が強化されました。また、地域別の預金シェアではニュージャージー州で上位、ニューヨーク大都市圏やフロリダでも一定の存在感を持ち、成長余地のある中小企業やヘルスケア、機器リースといった専門分野での全国的な貸出拡大も進めています。株主還元や資本政策でも、2024年に最大2,500万株の自社株買い枠を設定しており(実施は2024年4月26日発効、2026年4月26日まで有効)、資本効率の向上を図っています。

技術革新についてはデジタルチャネル強化と情報セキュリティの両面で投資を継続しています。オンライン・モバイルバンキングの機能改善を内製と外部パートナーの組合せで進める一方、サイバー対策は米国の標準的枠組みであるNISTの指針に沿った全社的な情報セキュリティプログラムを運用し、取締役会レベルで監督しています。加えて、資本や流動性の健全性を確認するために定期的に資本のストレステストを実施しており、気候関連リスクなどシナリオも組み入れている点が特徴です。これらの取り組みは、デジタル競合や規制環境の変化に対応しながら、顧客基盤の維持・拡大とリスク管理の両立を図るための主要施策となっています。