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- Controladora Vuela Compania de Aviacion, S.A.B. de C.V.
Controladora Vuela Compania de Aviacion, S.A.B. de C.V.VLRS
事業内容
Controladora Vuela Compania de Aviacion, S.A.B. de C.V.は、メキシコを本拠に短中距離の定期旅客便を運航する航空会社で、低価格を軸にした事業モデルで航空サービスを展開しています。以降は同社と表記します。同社は非常に低い基本運賃を設定し、座席や付加サービスを分離して販売することで低運賃を実現しています。
同社の主要顧客は、親族訪問(VFR)や価格に敏感なビジネス、レジャー客が中心で、以前はバス等を利用していた層の取り込みも狙っています。収益は低い基礎運賃で搭乗を促し、受託手荷物や優先座席、機内販売、会員制度(V-Club)や旅行関連の第三者商品販売などの付帯収入で補完する構造になっています。
事業の柱は旅客輸送と付帯サービスで、運賃体系は「ゼロ(基本会員付き)」「ベーシック」「プラス」などに分かれ、購入時期や需要に応じた価格変動(ダイナミックプライシング)と座席配分の最適化で収益を高めています。加えて会員制サービスや第三者手数料、機内販売の拡充を図りつつ、燃費や座席効率向上のためにAirbus A320neo/A321neoへの機材更新を進め、規模拡大によるコスト低減を目指しています。
経営方針
同社はメキシコ市場でのリーダーシップを維持しつつ、路線網と座席供給の拡大で成長を目指しています。2024年の総売上は約31.4億米ドルで、国内線が約19.6億米ドル、米国線が約9.7億米ドルを占めており(中南米は約2.2億米ドル)、これら既存市場での需要取り込みを基本に国際展開を進めています。明確な成長率目標は開示していないものの、受注・調整中の機材が残ることから、同社は2025年〜2031年にかけて受領を進める131機の機材配備で供給拡大を図る計画です。また、短期的な資金確保のために2025〜2026年において合計約8.8億米ドルの売却・リースバックを見込んでいます。
同社の差別化は超低運賃のビジネスモデル(ULCC)を基盤に、低運賃と有料の追加サービスで収益を高める点にあります。機材面では燃費と座席効率の良いA320neo/A321neoへの移行を進め、2021年以降の注文や一部A321への転換などで高密度編成を狙っています。運営面では固定費を低く抑えるために機能委託や共同調達を活用し、運賃を分離して荷物や座席指定などを別料金で販売することで非旅客収入を拡大しています。具体例として会員制サービス「V‑Club」は2024年末で約130万人の会員を抱え、同年は会員数が前年から約60%増加しました。
新市場開拓と事業拡大では、北米(特に米国)と中南米を重点地域に据え、受領予定機材を使って路線と便数を増やす方針です。成長資金の裏付けとしては、手元現金が約9.08億米ドル(直近12か月売上の約29%相当)あり、総与信枠は約18.7億米ドル、そのうち約5.38億米ドルが利用可能と報告されています。このような財務的余力を背景に、新規路線や顧客獲得策(低廉な基準運賃でバス利用者層を取り込む戦術など)を実行し、旅客数の拡大と収益性の両立を図ろうとしています。
技術革新と持続可能性にも投資を進めています。社内にテクノロジー&トランスフォーメーションの責任者とIT・サイバーセキュリティのワーキンググループを置き、収益管理(ダイナミックプライシングや座席配分)やオンライン手続き、CRMを強化して搭乗前後の販売機会を増やしています。外部パートナーとの連携にも積極的で、サステナブル航空燃料(SAF)を手がける企業へ約400万米ドルを出資するなど燃料面での脱炭素対応にも着手しています。金融面では燃料の価格変動などに対するヘッジ運用を行い、運航の安定化とコスト管理を両立させる取り組みを進めています。