Vislink Technologies, Inc.VISL

時価総額
$513.3万
PER
ライブ映像の収集・伝送・管理サービスの最大手。RFと5G両対応の無線伝送機器、携帯受信機、小型エンコーダーを展開。2023年9月にBMS資産を買収、2025年2月にHaleCapitalが約15.26%取得。世界で20万台超導入、米国・欧州・APAC中心に展開。

事業内容

Vislink Technologies, Inc.は高品質なライブ映像と付随データの収集・伝送・管理を手がける企業です。同社はRFと5Gを組み合わせたライブ映像の送受信機器や映像管理・配信ソフト、現場で使うハンドヘルド受信機などのハードウェアと、それらを支える技術支援サービスを提供しています。

同社の主要顧客はテレビ局やライブプロダクション、スポーツ中継やニュース制作を行う事業者に加え、政府機関、国防・法執行機関、ドローンや無人車両を運用する団体など多岐にわたります。収益は機器販売、ソフトウェアライセンス、設置・保守・延長保証などのサービス収入が中心で、直接販売や再販業者、インテグレーター、OEM経由の販売チャネルを組み合わせて売上を上げています。

事業は大きくライブ放送向け、軍・政府向け、プロフェッショナルサービスの三領域に分かれています。ライブ放送向けはニュースやスポーツの現場での映像収集・伝送・配信を一貫して提供し、軍・政府向けは長距離伝送や監視用途に適した無線・マイクロ波装置を強化しており、製造は社内リソースと外部委託を併用して部品調達を行いながら技術開発と知的財産の活用に注力しています。

経営方針

同社はまず収益性の回復を成長戦略の最優先事項と位置づけており、2024年11月に実施したリストラクチャリングで年間約7.8百万ドルのコスト削減を目指しています。過去の業績は厳しく、2024年の純損失は約20.5百万ドル、累積赤字は約329.7百万ドルで、同社は現金残高5.5百万ドルと政府証券への投資1.0百万ドルを抱えています。上記の構造改革に加え、米国での生産集約や管理体制の簡素化、ナスダック上場からOTCQBへの移行による固定費削減などを通じて、短期的なキャッシュの伸縮性を高めつつ中長期での黒字転換を目指しています。

重点投資分野は新製品開発と防衛・政府向け市場の強化にあります。研究開発費は2024年に約4.6百万ドルに増加しており、無線(RF)と5Gを組み合わせたライブ映像技術の差別化を図っています。具体的な製品例としてはAeroLinkやAero5、Mobil Commanderなどがあり、同社はRFと5Gの両方を提供する点を競合優位性と位置づけています。製造面では英国拠点の生産を米国へ移管してサプライチェーンの効率化を進め、外部の受託生産と社内リソースを組み合わせることで品質管理とコスト管理の改善を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、放送・スポーツ分野の強みを維持しながら監視、無人機(UAV/UGV)、防衛分野への展開を加速しています。2023年にBMSの資産を買収(取得時現金対価200千ドル、追加在庫購入230千ドルの約束)したことは監視・軍事用途への参入の一例であり、2024年には軍・政府向けの売上増が業績押上げに寄与しました。営業体制は直販、再販、OEMなど複数チャネルを使い分け、営業・マーケティング人員は約20名(フルタイム)で重点市場に注力しています。ただし追加資金調達の必要性や株式希薄化の可能性は引き続きリスク要因です。

技術革新への取り組みは、ハードウェアだけでなくソフトウェアや運用管理プラットフォーム、AI活用を含むエンドツーエンドのソリューション開発に重点を置いています。ERP導入による業務効率化や、製品群の統合で顧客向けの一貫した提供体制を整備しており、サイバーセキュリティ対策や従業員研修の強化も進めています。一方で製品ポートフォリオの見直しに伴う在庫評価損(2024年は約6.8百万ドル)や無形資産の減損(約0.3百万ドル)などコスト面の調整も行っており、同社は技術投資と財務健全化の両立を図ることで競争力の維持・強化を目指しています。