Virtu Financial, Inc.VIRT

時価総額
$51.9億
PER
マーケットメイキングと執行サービスの最大手。マルチアセットの流動性提供、ATS、執行アルゴリズム・分析ツールを展開。2017年に主要同業を買収、2024年にRFQプラットフォーム49%売却合意。北米・欧州・アジアで展開。

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企業概況
113文字)
業績概況
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2項目)
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ライバル企業
2社)
同業種の日本企業

事業内容

Virtu Financial, Inc.は先進的な技術を使って世界の金融市場に流動性を供給し、機関投資家や仲介業者向けにトレーディングの実行や分析ツールを提供する会社です。同社は高速な取引システムと自動化されたリスク管理を駆使して、さまざまな資産の売買を円滑に行えるようにしています。

同社の主要な顧客は小売ブローカーや登録投資顧問、証券会社、ヘッジファンドや年金などの機関投資家で、収益は大きく二つに分かれます。一つは大量の売買を通じて売買差益(スプレッド)を稼ぐマーケットメイキング収入、もう一つは手数料やシステム利用料、データ・分析サービスから得る執行・技術収入です。

事業は大きく「マーケットメイキング」と「執行サービス」の二つに分かれ、コーポレート部門がそれらを支えています。マーケットメイキングでは株式や上場投資信託(ETF)、債券、為替、商品、オプション、暗号資産などで常時売買注文を提示して流動性を提供し、執行サービスではアルゴリズム取引、注文ルーティング、相対取引や自社マッチングシステム、そして注文管理や取引分析などの取引インフラを企業向けに提供しています。

経営方針

同社は収益性の拡大と株主還元の両立を目指しています。2024年は普通株主に係る当期純利益が約2.76億ドル(276,415千ドル)と前年の約1.42億ドルから大幅に増加し、希薄化後1株当たり利益は約2.97ドルでした。株主還元では自社株買いを積極的に実行しており、2024年末時点で約5,030万株、総額約12.818億ドルを買い戻し、残余の買戻し枠は約4.382億ドルを保有しています。四半期ごとの配当支払いを継続する方針も掲げ、資本配分は成長投資と株主還元のバランスを取ることを目指しています。

同社は技術とスケールへの重点投資で差別化を図っています。具体的には自社の取引プラットフォームを中心に、25,000を超える証券や250以上の取引場を通じて約40か国・50か国以上で流動性を提供しており、通貨では80通貨ペア、エネルギー関連の先物等で約100の商品を取引しています。差別化の源泉は高頻度の自動化されたマーケットメイキング、注文ルーティング、執行分析、そして24時間×週5日の運用体制に基づくリスク管理です。リスク管理は戦略ロックダウン、中央監視、総曝露監視、運用管理の四本柱で運用しており、競合と比べて広範な市場カバレッジと低コスト構造で収益を確保しようとしています。

同社は新市場開拓と事業拡大にも積極的です。ワークフロー技術やリクエスト・フォー・クオート(RFQ)型の取引インフラに注力しており、RFQ-hubの49%をMarketAxessへ売却する契約は2025年のクロージングを見込んでおり、これにより同社はプラットフォーム事業での外部パートナーシップを活用しつつ少数株主持分を維持します。暗号資産関連では現物・先物・永久スワップ・ETFを含め55以上の取引所で活動しており、新興アセットクラスへの参画も推進中です。資金面では2024年に利率7.50%の社債(2024年6月発行、満期2031年6月)を発行するなど、成長投資のための複数の資本手段を整えています。

同社は技術革新を経営の中核に据え、継続的な投資を行っています。具体的施策としては低遅延の専用接続網やアルゴリズム執行、注文・執行管理システム(OMS/EMS)、自社ATS(POSITやVirtu MatchIt)や取引分析ツールの開発・提供を続けており、サイバーセキュリティ対策や内部統制の強化にも資源を割いています。これらは規制変更への対応(例:市場データや取引所ルールの改定)や、極端な相場変動下での安定稼働を支えるための具体的施策であり、同社は技術と運用の両面で市場の信頼性を高めることを目指しています。