Gaucho Group Holdings, Inc.VINO

時価総額
$6.6万
PER
不動産分譲、飲食・ワイン生産、ホスピタリティ、アパレルの複合事業の新興企業。ワイン生産と高級革製品、eコマースによる衣料販売を展開。2022年2月のHollywood Burger Argentina買収と2023年に転換社債で約467万ドルの資金調達。米国とアルゼンチン中心の事業展開。

事業内容

Gaucho Group Holdings, Inc.は、アルゼンチンのガウチョ文化を背景にした高級衣料や革小物の企画・販売を中核に、ワイン生産、飲食・ホスピタリティ、不動産開発など複数の事業を手掛けています。同社は実店舗とオンライン(EC)を通じて衣料やアクセサリーを販売するとともに、ワインや食品の販売や飲食店運営、土地区画の販売で収益を狙っています。

主要な顧客は一般消費者やレストラン・宿泊の利用者、不動産購入者で、収益は衣料品・アクセサリーの販売、食品・ワインの販売、ホスピタリティサービスの対価、そして不動産区画の売却に分かれています。同社は販売チャネルの拡大を図る一方で、旗艦店が赤字であるなど収益は必ずしも十分でなく、運転資金の一部を株式発行や転換社債など外部調達でまかなっている点が投資判断で重要になります。

事業は大きくファッション、ワイン・農産、ホスピタリティ・飲食、不動産開発の各分野に分かれています。ファッション部門は高品質な革製品と衣料を中心に展開し、ワイン部門はブドウ栽培とワインの製造販売、ホスピタリティ部門はレストランや関連サービスを運営し、不動産部門では土地区画の販売を行っています。同社はこれらを組み合わせてブランド力を高め、オンライン販売の強化と国際市場での成長を目指しています。

経営方針

同社は複数の事業領域(高級皮革製品や衣料品、ワインやホスピタリティ、不動産開発)を柱に「事業の商業化」と「財務基盤の安定化」を目指しています。具体的には2023年末時点で現金約42.8万ドル、運転資本の不足が約536.3万ドルという状況にあり、同社は追加資金の確保を最優先課題と位置付けています。2023年は転換社債や株式の発行で純額約713.1万ドルの資金調達を行い、決算後にも私募で3,054,891株を売却して約183.3万ドルを調達するなど、資金調達を通じて事業拡大と黒字化に向けた投資余力を確保しようとしています。

重点投資分野としては主に商品開発・販売チャネルと店舗運営に資源を振り向けています。特に高級革製品や衣料品の品質・フィット感、色やスタイルのバリエーションといった製品競争力で差別化を図る戦略で、アルゼンチン由来の「Gaucho」ブランド性を強調しています。人材面ではグループ全体で約75名の常勤従業員を有しており、報酬や株式報酬制度(2018年株式報奨プランの自動増加により2024年1月1日時点で約250,645株が付与可能枠となっている点)を通じてキーパーソンの引き留めと動機付けを図っています。一方で旗艦店はなお赤字であり、実店舗とオンラインの投資配分を見直しつつ差別化を進めています。

新市場開拓と事業拡大では、実績ある不動産・ホスピタリティ領域の強化を明確にしています。2022年に取得したHollywood Burger Argentina(現Gaucho Development S.R.L.)の事業では土地(約152.8万ドル)や建物(約63.5万ドル)を買収しており、不動産の開発・ロット販売やホスピタリティ事業の収益化を進める計画です。資金面では過去に最大約443万ドルを想定した株式のエクイティ枠(ELOC)や、最大720万ドル程度を想定する私募での資金調達を計画・実行することで、事業拡大に必要な運転資金と設備投資を確保しようとしています(ただしELOCはその後終了の通知を受けるなど資金調達手段は流動的です)。

技術革新への取り組みは、主に販売のデジタル化と情報管理の強化に向けられています。同社はオンライン販売(ウェブサイト)の改善や顧客リスト管理、配送と在庫の連携などで売上拡大を狙っており、これらを実現するためのシステム投資を進めています。また、個人情報漏えい等のリスクを認識しており、サイバーセキュリティと内部の財務管理体制の強化に取り組むことで投資家の信頼を高め、上場基準の維持・資金調達の円滑化を目指しています。