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VICI PROPERTIES INC.VICI
事業内容
VICI PROPERTIES INC.は、米国を中心にカジノやリゾート、ホテル、競馬場、ゴルフコースなどの不動産を取得して長期賃貸するトリプルネットリース型の不動産投資信託(REIT)です。同社は主要な娯楽施設の土地・建物を保有し、運営事業者に対して長期契約で貸し出しています。
主要な顧客は大手のゲーミングや体験型施設の運営会社で、賃料収入が収益の大部分を占めています。同社の収益は定期的な賃料収入が中心で、契約には物価連動の増額条項などが組み込まれており、テナントが税金や維持管理費を負担する仕組みです。
事業は主に長期賃貸による不動産ポートフォリオの保有と、ゴルフコースなどの運営関連資産の管理に分かれています。同社は子会社を通じて物件の取得・管理や賃貸契約の締結、資本調達を行い、テナントの業績や業界の動向を踏まえてポートフォリオ運営と成長戦略を進めています。
経営方針
同社は安定した収益成長と資本効率の向上を目指しています。2024年には総収入を38億ドル(前年同期比+6.6%)、純利益を27億ドル(+6.6%)とし、AFFO(事業運営から得られる調整後の現金利益)は24億ドル(+8.4%)に達しました。配当も四半期0.4325ドル(年率換算で1.73ドル)へ増配しており、成長投資は負債と新株発行を組み合わせて賄う方針で、2024年には投資適格の社債を10.5億ドルと7.5億ドル発行して既存債務の借り換えを行っています。短期的には総債務残高約171億ドルの返済スケジュールを管理しつつ、中長期では収益性の高いリース収入の拡大を優先しています。
同社はゲーミングやリゾートなど「体験型」不動産に重点投資し、長期のトリプルネットリース(賃借人が施設運営・維持費を負担する契約)を差別化ポイントとしています。ポートフォリオは米加で93資産(うちゲーミング54、その他39)を保有し、長期の賃料収入と地域分散による安定化を図っています。テナントと共同で実行する「パートナー・プロパティ成長基金」では2024年に4.118億ドルを投じ、年間化で3,320万ドルの追加賃料を創出しました。また、ベネチアン向けに最大7億ドルの再投資枠を設定(既に4億ドルを資金供給、残り3億ドルは2026年11月1日までのオプション)するなど、テナントと一体となった再投資で利回り向上を狙っています。
新市場開拓と事業拡大は、買収・資産取得とローン起点の投資を並行して進める戦略です。同社は将来的にローンを物件所有に転換する取引や、売却・リースバックによる拡大を目指しており、インディジナス・ゲーミング・パートナーズとの5年ROFO(優先交渉権)や、ホームフィールドに関する優先取得権など、契約上の取得権を活用して新規物件を取り込む方針です。さらに、ラスベガス・ストリップ隣接の約33エーカーの土地保有など既存資産の現金化も視野に入れており、ATM(随時売出)で約3.76億ドルの資金を調達するなど、資本調達手段を柔軟に使って成長資金を確保しています。
技術面ではサイバーセキュリティとデータ活用に重点を置いています。四半期ごとの脆弱性スキャン、年次の侵入テスト、外部の最高情報セキュリティ責任者(CISO)契約による運用で、インシデント対応訓練や模擬フィッシング演習を定期実施しています。加えてゴルフコース等の施設では第三者サービスを使ったユーティリティデータの収集・解析を進め、エネルギーや水使用の削減投資を実行しているほか、ESGの専門コンサルと連携して温室効果ガス評価やサステナビリティ報告の整備を進めています。これらにより運営リスクの低減と資産価値の向上を図っています。