Via Renewables, Inc.VIASP

時価総額
$2.7億
PER
小売電力・天然ガス事業の有力企業。固定価格プラン(6・12・24か月)やグリーン電力・再エネ証書(REC)を展開。2024年6月の合併で創業者が全株取得、2025年1月15日に優先株の四半期配当を宣言、2025年2月にシリーズA優先株買付入札を実施。北東部やテキサスなど米国複数州で事業を展開。

事業内容

Via Renewables, Inc. は小売りの電力・天然ガスを販売するエネルギー会社です。同社は消費者向けに一定期間の固定価格プランや月ごとの変動価格プラン、環境配慮型のグリーン商品を取り扱い、卸売市場での調達とリスク管理を通じて顧客に供給しています。

主要顧客は住宅が約63%、法人・商業(C&I)が約37%で、住宅は直接販売やオンライン、対面営業で獲得し、法人は主にブローカー経由で契約を結んでいます。同社の収益は販売マージンが中心で、電力・天然ガスの調達コストと顧客獲得費用の回収状況が業績に大きく影響します。顧客獲得費用は資産計上して通常1〜2年で償却し、概ね12か月で回収する方針です。

事業は主に小売電力と小売天然ガスのセグメントに分かれ、コーポレート部門が全体を支えています。商品ラインは6、12、24か月などの固定価格プラン、月単位の変動プラン、再生可能エネルギーやカーボンオフセットを組み合わせた環境配慮型プランを含みます。同社は市場ごとに価格や販路を調整し、必要に応じて顧客ポートフォリオの買収も行って成長を目指しています。

経営方針

同社は顧客基盤の拡大を成長の中心に据え、既存市場での有機的成長と顧客ポートフォリオの取得を組み合わせて規模を拡大することを目指しています。具体的には、米国20州とワシントンD.C.の102の電力供給地域で事業を展開しており、住宅系が63%、法人・商業系が37%を占める顧客構成を活かして成長を図っています。顧客獲得費用は原則12か月以内で回収する disciplined な方針を採り、2024年は約72,700の住宅相当口数(RCE)が移管されるなど、過去数年で合計約276,000RCE相当を買収で取り込んでいます。成長投資は現金、シニアクレジット施設、優先株の発行などを組み合わせて賄う計画です。

同社は顧客獲得と保持に重点投資し、販売チャネルと商品差別化で競争優位を築いています。2024年の主要獲得チャネルはダイレクトセールス、ドア・トゥ・ドア、ウェブ経由で、顧客獲得費用の資本化残高は2024年で約9.2百万ドル、同年の獲得費償却は約7.1百万ドルでした。更新前のコミュニケーションや顧客の行動分析によるセグメンテーションで顧客生涯価値を最大化する方針で、固定価格や変動価格、環境価値を付加した「グリーン」商品(再生可能エネルギー証書=RECや炭素オフセットの購入で環境属性を提供)を差別化点にしています。また、社内の需給管理チームが物理・金融両面でヘッジを行い、複数の卸供給先と取引することで価格変動リスクを抑制しています。

新市場開拓では「市場ごとの収益性」と「顧客獲得コスト回収期間」を基準に慎重に進出を判断する戦略です。同社は市場ごとに価格カーブを作成し、どの契約やチャネルで顧客を獲得するかを細かく設計しており、ブローカー契約や顧客ポートフォリオの取得も継続して追求します。買収時はエスクローで移管に応じて支払う構造を取り、2024年末時点でエスクロー残高は約1,550万〜1,590万ドルが計上されています。法人顧客はブローカー経由で獲得する比率が高く、住宅と法人のバランスを取りながら地域拡大を図る計画です。

技術面では、顧客獲得・保持と需給管理の高度化にITと分析を活用しています。利用状況や解約率の履歴を基にした予測モデルやセグメンテーション手法で商品設計と更新通知を最適化し、顧客獲得費用の回収性を高めています。また、再生可能エネルギー証書やデリバティブ評価などのポジション管理では時価評価や信用リスク調整を適用しており、決済や請求の正確性を高めるための内部管理やシステム投資にも取り組んでいます。これらにより、価格変動や規制リスクの下でも収益性を確保することを目指しています。