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VALHI INCVHI
事業内容
VALHI INCは持株会社で、複数の子会社を通じて化学品、部品製品、不動産関連の事業を展開しています。 同社は特に酸化チタン(TiO2)を製造・販売するKronos、建材や家具向けのロック類やマリン部品を生産するCompX、ネバダ州ヘンダーソンで土地管理・開発を行うBMIやLandWellを中核に事業を行っています。
同社の売上は各子会社の営業活動が中心で、化学セグメントは塗料・プラスチック・紙などの素材メーカー向け、部品セグメントは大手の機器メーカー(OEM)や流通チャネルへの直接販売で収益を上げています。 部品セグメントでは米国郵便公社など大口顧客の存在が目立ち、不動産セグメントは土地の貸与・開発や資産売却で収入を得ています。
事業は大きく「化学」「部品製品」「不動産管理・開発」の三本柱に分かれています。 化学は高付加価値のTiO2を主に塗料やインク、化粧品などの用途向けに供給し、部品製品はキャビネットロックや郵便機器向けのセキュリティ製品に加え、マリン向けの排気や計器類などの製品ラインを持ちます。 不動産はヘンダーソンの土地保有と開発を通じて価値創出を図り、同社は資本配分や子会社の最適化を通じて全体の収益性向上を目指しています。
経営方針
同社は中期的に収益基盤の回復と拡大を目指しています。2025年は連結の営業利益が2024年より高くなる見通しで、主な要因は化学事業(TiO2)、不動産事業、コンポーネント製品事業の増益です。化学セグメントは2024年の売上高が約$1,887.1百万で、長期的には二酸化チタン(TiO2)需要が年率2〜3%で成長すると見込んでおり、北米向け供給力強化のためにルイジアナの生産会社の残り持分を取得して年間約78,000メトリックトンの生産能力を追加しました。この買収はクロノスが$132.1百万をリボルバーで借入れて実行しており、追加で最大$15百万のアーンアウトが2025〜2026年のEBITDA達成に連動しています。
重点投資分野は二酸化チタンの付加価値品開発、不動産の造成・インフラ還元の取り込み、そしてコンポーネント製品の高付加価値領域です。同社は化学では品質と供給安定性、コンポーネント製品(CompX)では設計品質や耐久性を武器に中〜上位市場で差別化を図っています。CompXは2024年にセキュリティ製品で約$115.2百万、マリン部品で約$30.7百万の売上を計上しており、大口顧客(米郵便公社が約21%)や鍵卸ルートでの流通網、複数の特許やブランドを通じて競争優位を維持しています。なお、同社グループの主要子会社支配率はクロノス約81%、CompX約87%、BMI/LandWellが63〜77%です。
新市場開拓や事業拡大では既存資産の活用と選択的投資を進めます。不動産部門はヘンダーソンの約2,100エーカーの住宅・複合用途地の開発を継続しており、2025年はインフラ還元の増加(2024年のインフラ還元は約$31.7百万)を見込み収益貢献を高める計画です。コンポーネント事業は2024年に生産能力と在庫を積極的に需要水準に合わせて調整しており、2025年も顧客需要のモニタリングを続けながら海事・政府向け等の販路拡大で売上増加を狙います。化学では買収による容量拡大で北米市場のシェア強化を図る一方、原材料価格や需給変動を注視した資本配分を行っています。
技術革新への取り組みでは生産効率の向上と製品ミックス改善に重点を置いています。クロノスは製造プロセスや品質制御を継続的に改善し、競争相手のプロセス革新(例えば塩化法の品質向上)に対抗する戦略をとっています。CompXは特許保有や電気錠などの製品開発により差別化を図り、研究開発費は2024年で約$14百万、広告費は年間約$2百万を投じています。原材料調達については、多くの資材で四半期または半期ごとの価格交渉を行い、長期ヘッジは行わない方針としつつ、必要に応じて短期の原材料手当て契約を活用してコスト変動リスクに対応しています。