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Village Farms International, Inc.VFF
事業内容
Village Farms International, Inc.は、環境を制御する大規模な温室を基盤に、年中安定して供給できる高品質な生鮮野菜と、合法市場向けの大麻およびカンナビノイド系製品を生産・販売しています。同社は英領コロンビア州やテキサス州などで数百万平方フィートに及ぶ温室を運営し、トマト・ピーマン・キュウリなどを中心に365日出荷できる体制を整えています。
主要な顧客はスーパーマーケットや卸売業者、食品サービス事業者で、カンナビス製品は専門小売や各州の流通チャネルを通じて販売しています。ヘンプ由来のCBD製品は自社運営のeコマース(CBDistillery)を通じて直接消費者に届け、加えてクリーンエネルギー事業では埋立地ガス由来の再生天然ガスでロイヤリティ収入を得るなど、複数の収益の柱を持っています。
事業は大きく生鮮野菜事業、カナダ・米国のカンナビス事業、クリーンエネルギー事業に分かれます。カナダではPure SunfarmsやRoseが大麻の花や加工品を手がけ、米国ではBalanced Health(CBDistillery)がヘンプ由来製品を主にオンラインで販売しており、さらにオランダのLeliは現地の合法供給プログラム向けに製品を供給しています。同社は温室での栽培から加工・流通まで一貫して行う体制を強みとしています。
経営方針
同社は持続的な成長と収益性の回復を目指しています。生鮮野菜の制御環境型温室(CEA)で800万平方フィート超の栽培面積を保有し、通年供給(365日)を強みとしているほか、2023年1月の公募で約2,500万米ドルの資金調達を行い、公開売出枠として最大5,000万ドルの販売枠も確保しています。財務面では、管理側が提示する調整後EBITDAは2022年の大幅赤字から改善し、2023年には約760万ドルの黒字に回復しており、同社は営業キャッシュフローの創出と財務基盤の強化を重点目標としています。
重点投資分野は温室インフラとブランド構築、そしてエネルギー関連事業です。同社は制御された温室技術を中核に、カナダのPure SunfarmsやRose LifeScience、米国のBalanced Health(CBDistilleryブランド)などのブランド力を活用して差別化を図っています。規模の経済と品質管理による安定供給を特徴とし、役員・従業員への株式報酬制度(上限は発行済株式の10%、ストックオプションは付与日公正価値で行い権利確定は3年)で経営と利害を一致させる施策も取っています。
新市場開拓と事業拡大については国際展開と資産最適化に注力しています。オランダのLeliは栽培ライセンスを取得し、同社が100%出資する形で2025年第一四半期から指定販売チャネルへの供給を開始しており、カナダ・米国・欧州での販売網拡大を進めています。加えて、バンクーバー近郊のデルタでの埋立地ガスを再生可能天然ガスに転換するプロジェクトは20年契約ベースで収益のロイヤルティを得る仕組みを採っており、既存の温室資産の一部を用途転換(カンナビス化)や条件に応じて売却する検討も進めています。
技術革新への取り組みは生産効率と品質管理、エネルギー効率の両面で進められています。同社は制御環境農業の高度化や省エネ設備、温室ごとの品質管理体制に投資しており、エネルギー面では埋立地ガスのRNG化や電力消費削減を狙った施策を実施しています。内部統制の強化も進めており、特権アクセス管理ツールの導入や仕訳の承認手続きの強化など具体的な改善を行い、信頼性ある運営体制の構築を目指しています。