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VERACYTE, INC.VCYT
事業内容
Veracyte, Inc.はがん診断に特化したグローバルな診断企業で、患者の診断や治療判断を支援する分子診断検査を開発・提供しています。同社の主力検査には甲状腺向けのAfirma、前立腺向けのDecipher Prostate、乳がん向けのProsigna、膀胱がん向けのDecipher Bladder、肺領域に関連するPerceptaなどがあります。
同社の主要な顧客は病院や診療所の医師、臨床検査室、保険支払者などで、検査の実施と保険償還が収益の中心になっています。収益の大部分はDecipher ProstateとAfirmaが占め、米国内は自社のCLIA認定ラボでの検査提供モデル、海外は現地ラボ向けの診断キット(IVD)流通モデルを採用しています。主要な支払者としては米国の公的保険や大手民間保険が重要で、例えばMedicareが約31%、UnitedHealthcareが約13%の割合を占めています。
同社は二つの事業モデルを軸に展開し、米国向けには集中ラボでのラボ開発検査(LDT)を、国際市場では診断キットの流通を行っています。研究開発ではゲノムデータと人工知能を組み合わせた診断プラットフォームで臨床エビデンスを積み上げ、保険適用やガイドライン採用につなげています。さらにC2iの買収や最小残存病変(MRD)検査などモニタリング領域への拡大にも注力しており、診断から治療後の追跡までカバー範囲を広げようとしています。
経営方針
同社は成長戦略として、既存製品の拡大と新領域の投入によって中長期の収益拡大を目指しています。具体的には、現在売上の大部分を占めるDecipher ProstateとAfirmaの市場浸透を高めることに注力するとともに、買収したC2iを通じて最小残存病変(MRD)分野へ進出し、がん診療の「診断から治療・モニタリングまで」の領域を広げる方針です。財務面では2024年の純利益が約2410万ドルである一方、累積赤字は約4億4400万ドルであり、株式の時価総額は2024年6月30日時点で約15億ドル、発行済株式数は2025年2月21日時点で約7,794万株となっています。これらを踏まえ、同社は短期的な収益基盤の維持と並行して、長期成長のための投資を継続しています。
同社は重点投資分野として、エビデンス創出、保険適用の獲得、臨床検査体制と営業力の強化に資源を投入しています。差別化の中心には「Veracyte Diagnostics Platform」があり、全転写解析など広範なゲノム・臨床データを蓄積し、バイオインフォマティクスと人工知能を使って検査精度と臨床的有用性を高める点を掲げています。さらにアメリカ国内ではCLIA認定の集中型ラボ(サンフランシスコ、サンディエゴ等)で検査を実施し、海外向けには現地ラボでの実施が可能な体外診断(IVD)方式での提供を進める二本立てのモデルを採用している点も差別化要素です。
新市場開拓や事業拡大では、C2i買収によるMRD検査の商用化と、Percepta鼻腔スワブ等の新検査の導入を優先しています。同社は将来的にDecipher ProstateやPerceptaをIVDとして国際展開する計画を掲げており、これには現地での規制承認や大規模な臨床・費用対効果データの蓄積が不可欠です。エビデンスは保険償還や診療ガイドラインへの採用につながるため、前向き試験や後ろ向き解析を通じた科学的根拠の提示、診療現場での受容促進、そして保険者との交渉に重点投資を行っています。
技術革新への取り組みとしては、従来の全転写アプローチに加え、MRD領域では全ゲノムに相当する解析を組み合わせることで、治療効果や再発の早期検出を可能にする方針です。これを支えるためにデータベースの拡充、機械学習モデルの改良、検査アッセイの分析的・臨床的バリデーションに継続的に投資しています。また、知財保護にも取り組んでおり、保有特許の有効期間は概ね2027年から2040年にかけて設定されています。技術面では迅速な臨床エビデンスの循環(開発→臨床データ蓄積→改良→再評価)を重視し、製品差別化と市場導入を加速させようとしています。