VALUE LINE INCVALU

時価総額
$3.5億
PER
投資情報・出版の有力企業。投資期刊、独自のランキング、投資分析ソフトや金融データベースを展開。親会社が議決権の91.74%を保有(2025年4月30日)。EAMからの非議決権収益で18,318,000ドルの収入計上(2025年4月期)。顧客は米国中心。

事業内容

VALUE LINE INC。 同社は個人投資家や機関投資家向けに投資調査と出版を中心とした事業を行っています。主力は株式や投資信託を幅広くカバーする定期刊行の調査誌で、印刷版と電子版の両方で独自の調査・評価や統計ランキングを提供しています。

同社の主要な顧客はほぼ国内(米国)に限られた個人やプロの投資家、金融機関で、収益の大部分は購読料と版権料です。加えて、資産運用を行う関連会社(EAM)に対する非議決権の収益・利益持分からの分配も重要な収入源になっています。

事業は大きく四つの製品群に分かれており、包括的な参考調査誌、特定テーマに絞ったニュースレター、投資分析用ソフト、そして現行・過去の金融データベースを扱っています。研究部門や情報技術、印刷・事務のコストは全製品で共有しているため、経営上はこれらを「出版」セグメントとして一括して管理し、機関向けにはインターネット経由でデータ提供や版権ライセンスの供与も行っています。

経営方針

同社の成長戦略は、従来の刊行物による定期購読収入の維持・拡大を基盤にしつつ、デジタル配信と著作権ライセンス収入の拡大で収益構造を強化することにあります。具体的には、個人投資家向けの「The Value Line Investment Survey」などの包括的リサーチ製品に加え、ニッチなニュースレターやオンラインデータベースの販売拡大を図っています。財務面では、EAM(EULAV Asset Management)に対する非議決権の収益・利益分配から、2025会計年度に合計18,318,000ドルの収入を計上しており(うち非議決権収益が16,183,000ドル、非議決権利益分配が2,135,000ドル)、配当や自社株買いを通じた株主還元も継続しています。自社株買いは総額3,000,000ドルを上限とするプログラムを持ち、2025会計年度は11,480株(約453,000ドル)を買い戻し、プログラム開始以来では47,202株(約2,243,000ドル)を買い戻しています。

重点投資分野はコンテンツ開発とライセンス事業、そして機関向けサービスの拡充です。同社は自社の独自ランクやデータといった著作権資産を第三者にライセンス提供することで、投資信託や運用アカウント、ETFなどへの組み込み収益を得ています。EAMにおける受益割合は投資運用手数料で41%〜55%、純利益の50%と定められており、この構造が安定した収入源になっています。加えて、大学・図書館・金融専門家など機関顧客の取り込みを重視し、専門性の高いニッチ商品(例:気候変動投資サービスやM&Aサービス)で競合他社との差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、デジタル化とライセンスの国際展開、並びに運用ビジネスとの連携強化が柱です。同社は既存の刊行物をデジタル化した投資分析ソフトやデータ配信サービス(DataFileなど)を通じて流通チャネルを広げ、第三者運用商品への著作権供与を増やす計画です。また、Value Lineブランドを活用して個人向けの定期購読から機関向けの契約へと顧客基盤を拡大する方針で、これにより購読収入の継続性とライセンス収入の比率を高めることを目指しています。ガバナンス面では親会社のArnold Bernhard & Co.が2025年4月30日現在で議決権株式の91.74%を保有する「コントロールド・カンパニー」構造を踏まえつつ、NASDAQ基準の一部を任意で順守しており、外部パートナーとの契約や関連当事者取引については監査委員会の承認を得る内部ルールを運用しています。

技術革新については、情報セキュリティと配信インフラへの継続的な投資を明確に掲げています。同社はサイバーセキュリティを経営戦略の重要要素と位置づけ、最高情報技術責任者が率いる幹部委員会を設置して日常的にリスク管理を行い、第三者によるペネトレーションテストや独立監査を定期的に実施しています。また、外部サービスプロバイダーの選定時にセキュリティ評価を組み込み、万一の障害に備えた遠隔業務対応やデータバックアップ体制を整備しています。さらに、投資分析ソフトやオンラインデータベースへの技術投資を通じて、利用者の利便性向上と差別化を図ることで、デジタル時代の収益基盤強化を推進しています。