VISA INC.V

時価総額
$5974.1億
PER
デジタル決済の世界最大手。取引処理ネットワーク、リアルタイムA2AやB2B送金、AI不正検知などの付加価値サービスを展開。2024年1月にクラウド型基盤企業を9.29億ドルで買収、過去10年で30億ドル超をAIとデータ基盤に投資。200超の国・地域で展開。

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企業概況
196文字)
業績概況
136文字)
テーマ
4項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
5社)

事業内容

VISA INC.は世界的なデジタル決済のリーダーで、消費者と加盟店、金融機関をつなぐ決済ネットワークを運営しています。同社は決済の承認・清算・決済完了に関わるトランザクション処理や、国際取引や口座間送金などを安全かつ迅速に行うためのインフラと関連サービスを提供しています。

主要な顧客はカードを発行する銀行やカードを受け取る加盟店、その決済を仲介する決済処理業者、さらにデジタルウォレットやフィンテック企業などのプラットフォームです。同社の収益はサービス手数料、取引処理手数料、国際取引手数料やデータ・付加価値サービスの売上が中心で、総取扱高の増加が収益拡大に直結します。

事業は決済ネットワークの中核に加え、リアルタイム送金や法人間決済、オープンバンキング対応、不正検知・リスク管理といった製品ラインに分かれています。同社はさらにコンサルティングやデータ分析、マーケティング支援などの付加サービスを金融機関や加盟店向けに展開し、決済処理以外の収益源を拡大しています。

経営方針

同社は継続的な収益成長と株主還元の両立を目指しています。直近の通期では純収益は約359億ドル(2024会計年度)に達しており、地域別では米国が約41%を占めています。取引規模も大きく、直近のカレンダー年では決済ボリュームが約12.6兆ドル、年間取引件数は約2,840億件に上ることから、既存ビジネスの拡大でまず成長を確保する戦略を取っています。キャッシュの使い方では株主還元も重視しており、2023年10月に約250億ドルの自社株買い枠を承認、2024会計年度は6,400万株を約169.6億ドルで取得し、同年末時点で約131億ドルの余裕を残しています。

成長の重点投資分野は決済ネットワークの強化と付加価値サービスです。同社は「ネットワーク・オブ・ネットワークズ」という考え方で、既存のVisaNetを中心に他ネットワークやリアルタイム決済経路を組み合わせて取引を広げることを目指しています。具体的には法人間送金や即時送金を拡張するVisa B2B ConnectやVisa Direct、口座間送金(A2A)に対応したサービスの整備、さらに顧客分析やマーケティング、導入支援を行うVisa Consulting & Analyticsを通じて差別化を図っています。技術面への投資実績としては過去10年でAI・データ基盤に30億ドル超を投じており、これが同社の競争優位の要になっています。

新市場開拓と事業拡大では、オープンバンキングや口座直結型の決済を重点的に展開しています。Tinkの買収を基盤に欧州での口座連携機能を拡大し、2024会計年度には欧州でのプレゼンスを拡大、米国向けのオープンバンキング商品投入も始めています。加えて、英国での口座間決済サービス「Visa A2A」を2025会計年度にローンチする計画を公表しており、金融機関や事業者との接続を通じて新たな決済フローを取り込む狙いです。買収面では、2024年1月にクラウド型発行処理プラットフォームのPismoを約9.29億ドルで取得し、同年9月にはリアルタイム不正検知のFeaturespace買収を発表するなど、機能獲得による市場参入を積極的に進めています。

技術革新への取り組みは取引の安全性とプラットフォーム拡張が中心です。AIや機械学習を用いた不正検知ソリューション(例:Visa ProtectやVisa Risk Manager)を提供し、リアルタイム決済に対応する保護機能を強化しています。また、クラウドネイティブな発行・処理基盤の獲得やAPIエコノミーへの対応で、フィンテック等の新規参入者とスムーズに連携できる技術スタックを整備しています。契約上の将来収益を示す残存パフォーマンス債務は約41億ドルあり、これらは新サービスへの需要や技術投資が継続的な収益につながる見込みを示しています。