Utz Brands, Inc.UTZ

時価総額
$13.5億
PER
塩味スナックの大手。DSD流通と自社工場を活用したBFYオイル採用のブランド商品を展開。2024年2月にGood HealthとR.W. Garciaを1.675億ドルで売却、同年4月に製造施設を1850万ドルで売却。米国中心。

事業内容

Utz Brands, Inc.は主に塩味スナックの製造・販売を行う食品会社です。同社はUtzやZapp's、Boulder Canyonなどのブランドでポテトチップスやプレッツェル、各種スナックを提供しており、店頭でのブランド展開と味・パッケージでの差別化に注力しています。

同社の顧客は主に米国内の小売業者で、上位10社で約40%の請求売上を占め、一社が10%以上を占めています。収益は小売向けの直接販売と自社による店舗配送ネットワークを通じた卸売が中心で、販促や共同広告を通じて需要を喚起しています。

同社は複数の自社工場を持ち、さまざまな包装や原材料に対応できる生産力で新製品を迅速に市場投入しています。近年は健康志向の商品(例:アボカド油やオリーブ油を使った商品)や新フレーバーの開発に投資し、小売店での試験販売や他社との共同生産を活用してブランド拡大を図っています。

経営方針

同社は中長期的に売上拡大とシェア獲得を最優先に据えた成長戦略を進めています。2024年の連結売上高は約14.1億ドルで、既存の中核地域でのシェア維持に加え、「拡張地理(Expansion Geographies)」や未開拓のチャネルでブランド商品を拡大することでトップラインの成長を目指しています。同時にサプライチェーンの変革を掲げ、コスト効率と柔軟性を高めることで粗利改善を図り、最終的には販管費対売上の改善と投下資本の回収率向上を達成することを目標としています。

同社は差別化の柱としてマーケティングと商品イノベーションへの重点投資を行っています。消費者向けの広告とデジタル投資として2024年に約1,780万ドル、協業型広告(小売との共同広告)に約3,380万ドルを投じ、消費者の「引力」を強めることを狙っています。商品開発は「健康志向の選択肢拡大」「味の訴求」「用途の取り込み」を三本柱にしており、例えばBoulder Canyonは自然食品チャネルで32.7%成長するなど成果が出ています。加えて社内の柔軟な製造能力と小売での即時フィードバックを得られる店頭直送(DSD)網を活用し、迅速な商品化と差別化フレーバーの投入を進めています。

事業再編や新市場開拓については、選択と集中を行いながら拡大を図っています。2024年にはGood HealthおよびR.W. Garciaブランドと関連施設を買い手に売却し約1.675億ドル(交渉による調整あり)を得たほか、製造施設売却で約1,850万ドルを回収し、移行期間中の業務委託や相互製造契約を通じて約1,870万ドルの前受金を受領しています。こうした資産の入れ替えにより、拠点とブランドポートフォリオを最適化すると同時に、米国内の拡大余地(トップ10顧客が約40%を占める構造を踏まえたチャネル多様化)に注力していく計画です。

技術面ではサイバーセキュリティとデータ活用を強化し、運営の信頼性とマーケティングの効率を高めようとしています。同社は米国の標準であるNISTのサイバーセキュリティ・フレームワークを指針とした管理体制を構築し、インシデント対応計画、四半期ごとの社員セキュリティ研修、毎月のフィッシング試験、多要素認証などを実行しています。さらに原材料の価格変動対策として主要材料を3〜18か月先まで固定する「買い付け前倒し」やヘッジを活用しつつ、電子商取引・デジタル広告や製造プロセスのデジタル化に投資して、商品開発から販売までのサイクル短縮を目指しています。