UTSTARCOM HOLDINGS CORP.UTSI

時価総額
PER
通信インフラ機器の有力企業。IPベースのパケット光伝送・アクセス製品を展開。2024年R&D費5.1百万ドル、SoftBank向け売上約330万ドル(約30%)とBSNL向け約350万ドル(約32%)が特徴。日本・中国・インドを中心に展開。

事業内容

UTSTARCOM HOLDINGS CORP.は通信事業者向けのインフラ製品とソリューションを開発・販売する企業で、ブロードバンド向けの伝送装置やアクセス機器、無線と固定回線の接続を支えるシステムを手がけています。同社はモバイルのバックホールや都市部の集約、ブロードバンド接続やWi‑Fiの負荷分散といった用途に最適化したIPベースの機器を中心に提供しています。

主要な顧客は日本、インド、中国などの通信事業者で、販売は直販を中心にOEM/ODMなどの協力体制も活用しています。同社は製品販売のほか導入後の保守・技術サポートでも収益を得ており、ソフトバンクやBSNLといった大口顧客が売上の大きな割合を占めています。

事業は大きく研究開発、製造・組立・試験、そして販売・顧客サポートのセグメントに分かれます。同社は杭州市の自社工場で組立と最終試験を行い、各国の現地拠点で導入支援と保守を担っています。競合が多い市場の中で、同社はコスト効率化と継続的な製品改良によって差別化を図っています。

経営方針

同社は収益構造の最適化と利幅改善を目指しています。具体的にはコスト削減と事業再編を進める一方で、売上ポートフォリオの質を高める戦略を掲げています。直近のR&D投資は2024年で約510万ドル、2023年は約590万ドルと年間数百万ドル規模で安定的に投資しており、これを通じて高付加価値製品の比率を高めることで粗利益率の向上を狙っています。一方で2024年の売上は特定顧客への依存が高く、SoftBank向けが約30%、インドのBSNL向けが約32%を占めているため、同社は顧客分散と資金繰りの安定化も重要な成長課題と位置づけています。

同社は重点的にブロードバンド輸送およびアクセス装置の開発・販売に投資しています。具体策として自社製品の設計を「モジュール化」して既存ネットワークへの段階的導入を容易にし、導入・保守コストを下げることで競合との差別化を図っています。販売面では直販に加えてOEM/ODMパートナーを活用し、中国・日本・インドを中心に技術サポート拠点(杭州、成都など)を維持して顧客対応力を高めています。製造面では杭州の自社工場で回路基板の実装から最終検査まで行い、製品ごとの品質データをシリアル単位で追跡する体制を整えています。

同社は新市場開拓と事業拡大を積極的に進めています。中国市場では5GやIoT向けネットワークソリューションの需要取り込みを優先し、加えてアジア以外の地域への販売チャネル拡大も模索しています。具体的な施策としては、現地通信事業者向けの入札対応力を強化するための規制対応や、安全・調達要件に則した登録・許認可の取得、OEMパートナー経由での販路拡大を進める計画です。人的資源としては全社で約219名(研究開発78名、製造70名、営業・サポート40名)を擁しており、これを基盤に既存顧客への追加提案と新規顧客開拓を両輪で進めています。

同社は技術革新を成長の核に据え、内製と外部技術の組み合わせで製品強化を図っています。研究開発センターは品質管理基準(ISO)を満たしており、製品改善は顧客の運用要件を出発点に行う方針です。近年のR&D投資は年約480万〜590万ドルのレンジで推移しており、今後も新機能の追加や既存装置のソフトウェア改善を通じて、顧客の既存設備に低コストで付加価値を与えることを目指しています。知的財産は特許や秘密保持契約で保護する一方、特許の地域差や権利行使の難しさも認識しており、実用化と市場投入の速さを重視する方針です。