UNIVERSAL TECHNICAL INSTITUTE INCUTI

時価総額
$12.3億
PER
職業訓練を提供する教育事業の大手。自動車整備や医療系の専門職養成プログラムを展開。2022年12月の買収(約4,810万ドル)と2021年11月の買収(約2,880万ドル)で事業拡大。米国中心の全国展開。

事業内容

UNIVERSAL TECHNICAL INSTITUTE, INC.(以下、同社)は、自動車や航空、ヘルスケアなどの職業教育を中心に展開する上場の教育サービス企業です。主に短期の職業訓練プログラムや資格取得を目的としたコースを運営し、実習設備や業界パートナーと連携した実践的なカリキュラムで学生の就職機会を高めています。

同社の主要な顧客は職業訓練を受ける学生と、従業員教育を必要とする企業で、学費収入や連邦学生援助(Title IV)を通じた資金が収益の中心です。加えて、自動車メーカーなどの業界パートナーからの機材提供やスポンサーシップ、企業向け研修や臨床・現場実習を通じた収益も重要な収入源になっています。

事業は主にUTI部門(自動車整備やディーゼル、マリンなどの技術教育)、Concorde部門(歯科・看護・医療職などのヘルスケア教育)、MIATなどの専門校というセグメントに分かれています。各セグメントは対面、ハイブリッド、オンラインを組み合わせた授業と、臨床実習や現場連携を組み込んだプログラムで地域の雇用ニーズに応じた人材育成を行っています。

経営方針

同社は「North Star」戦略の下で、既存市場の深掘りと新市場の開拓、事業の多様化、そして業務効率化による最適化を同時に進めることを目指しています。財務面では保有現金が約1億6,190万ドル(2024年9月30日時点)と比較的余力があり、株式の時価総額は2024年3月時点で約6.9億ドルと評価されています。成長投資の主要手段としては買収と有機的拡大を併用しており、過去には医療系のConcorde(取得対価約4,810万ドル、キャンパス17箇所・学生約7,600名)やMIAT(取得対価約2,880万ドル)を買収してポートフォリオを拡大しています。プロフォーマベースでは直近の売上高が約6.4億ドル程度に相当する水準と示されており、同社はこれらの施策で売上と学生生涯価値の向上を図ることを目指しています。

同社は産業別の強いパートナー関係とキャリア支援を重点投資分野に位置づけ、ここを差別化の核にしています。UTI部門では自動車やボートなどのメーカー(例:ホンダ、ブラウザン=マーキュリー、ボルボペンタ、ヤマハ等)と連携して最新の工具・車両をキャンパスに導入し、実機を使った訓練で即戦力を育てる仕組みを整えています。一方、Concordeでは病院や診療所との臨床実習ネットワークを強化し、卒業後の就業につながる実務経験を提供することで他校との差別化を図っています。卒業後の就職支援は同社が「競争上の差別化要素」と位置づける重要な施策で、チュータリングや就職斡旋など具体的な学生支援に投資しています。

新市場開拓や事業拡大については、地理的なキャンパス拡大とプログラムの幅を広げることが中心です。同社は新規校舎の開設や既存校のプログラム追加により成人学習者や需要の高い職種(特に医療・歯科・診断系など)への浸透を目指しており、買収資金は回転型の与信枠(リボルビング・クレジット)などで賄うケースが見られます。さらに企業向けの研修や既存パートナー企業の従業員向けカスタム講座を増やすことで、学費以外の収入源を多様化し、キャンパスの稼働率改善や収益性向上を図っています。

技術革新への取り組みとしては、サイバーセキュリティと教育のデジタル化に重点を置いています。同社は外部専門家による評価や脆弱性検査を定期的に実施し、取締役会の監督下で情報セキュリティ体制を強化しており、最高情報責任者や情報セキュリティ担当の経験者を配置しています。教育面ではハイブリッドやオンラインを含む複合型授業形式を導入し、シミュレーション機器やメーカー提供の実機を活用した実習環境を整えることで学習効果を高めています。また、データに基づく入学・卒業・就職のトラッキングや卒業生の就業支援システムの整備にも投資し、成果の可視化と改善サイクルを回すことを目指しています。