Americas Gold & Silver CorpUSAS

時価総額
$21.6億
PER
金銀など貴金属の採掘・生産の大手。Galena複合鉱山やRelief Canyonで鉱山開発と精鉱販売を展開。2019年のPershing Gold買収、2019年10月にGalenaへ15百万ドル出資。米国・メキシコ・カナダで展開。

事業内容

Americas Gold & Silver Corpは、北米とメキシコを中心に金と銀を主商品の採掘・加工・販売を行う鉱業会社です。同社は鉱山の開発と操業、採掘した鉱石から金銀を含む濃縮物(コンセントレート)を生産することを主力事業としています。

同社の主な顧客は製錬所や濃縮物を買い取る特定の買い手で、販売はオフテイク契約や個別の売買で行っています。売上は現物の金属価格に大きく左右され、出荷時に前払金を受け取り後で最終価格で精算する取引形態も一般的です。

事業は探査・開発・生産の各段階に分かれ、主要資産にはアイダホ州のガリーナ複合鉱山、ネバダ州のリリーフキャニオン(金鉱山)、およびメキシコのコサラ地区での探査や休止中の操業があります。鉱石は自社で処理するか濃縮物として販売し、貴金属の供給契約やジョイントベンチャーなども事業の一部を占めています。

同社は自社プロジェクトの拡大と補完的資産の統合で生産拡大と収益改善を目指しており、特にガリーナでの探査を通じて鉱山寿命の延長に注力しています。金属価格変動や輸送・環境規制の影響を受けやすいため、資金管理や契約関係の維持にも重点を置いています。

経営方針

同社は、金銀など貴金属の生産規模を「採算ベースで」拡大することを成長戦略の柱としています。具体的には自社保有の鉱山を開発すると同時に、周辺の相補的な鉱山や鉱床を統合して資産規模を拡大することを目指しています。既存資産の延命にも注力しており、例としてガリーナ鉱山の収益化復帰を優先課題とし、露天堆積設備の安定稼働などで生産性を高める取り組みを続けています。資金面では、2019年以降の事業統合や公募増資、C$12.5百万の転換社債の活用、エリック・スポット氏との合弁での初期資金$15百万拠出などを通じて成長投資の財源を確保しています。

同社は重点投資をガリーナ複合体とコサラ地区の早期ターゲットに絞り、既存インフラや地表から到達可能な鉱区を優先的に探査することで、投入資本を抑えながら埋蔵量を延ばす差別化を図っています。地質学、掘削、冶金、設計といった専門人材を社内外で確保し、経営陣の買収・開発・運営経験を競争優位にしています。また販売面では、コンセントレート(鉱石精鉱)のオフテイク契約により出荷後1か月程度で売上前渡金の85〜100%を受け取る仕組みを利用し、価格変動や資金繰りのリスク管理を行っています。人材の長期的なインセンティブ整備としては、2023年時点で約1,737万件のストックオプションや約237万件の繰延株式報酬(DSU等)を通じた利害の一致も図っています。

同社は新規市場や事業の拡大に際して、買収やプロジェクト統合を積極的に検討しています。過去の合併や買収実績(2014年の統合、2019年のPershing取得など)に基づき、魅力的な鉱床や生産設備を取り込むことで短中期の生産増を狙っています。具体策としては、既存鉱山からアクセスしやすい掘削ターゲットや早期に操業可能な鉱区の優先評価を行い、必要に応じて資本市場や戦略的提携を通じた資金調達で買収を実行する方針です。同社はこれらを通じて鉱山寿命の延長と事業ポートフォリオの強化を目指しています。

同社は技術革新によりコスト低減と回収率改善を図ることを目指しています。露天堆積の効率化(Relief Canyonでのラジアルスタッカー稼働など)や冶金試験・処理フローの最適化、近接探査のための掘削プログラムに投資し、短期的に生産性を向上させる施策を講じています。また、米国のS‑K 1300やカナダのNI 43‑101など鉱業報告基準の変化に対応するため、技術的な報告や試算の整備にも資金と人材を割り当てており、適正な技術情報に基づく意思決定と外部開示の強化を進めています。