UNITED PARCEL SERVICE INCUPS

時価総額
$854.9億
PER
国際物流・小口貨物配送の米国最大手。RFID対応のスマートパッケージ施設やコールドチェーン技術を展開。2025年1月にドイツの複合ヘルスケア物流企業を約4.4億ドルで買収、2025年Q1に主要顧客との取扱量を50%以上削減する合意。200超の国と地域で展開。

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企業概況
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業績概況
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テーマ
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

UNITED PARCEL SERVICE INCは、世界各地で小包や書類、パレット貨物の集配と輸送を行う総合物流会社です。同社は航空と陸上を統合した単一のネットワークで、企業や個人向けに時間指定配送や国際輸送などの主要な配送サービスを展開しています。ネットワーク運用の効率化と可視化を高めるために、センサーや無線タグなどの技術投資にも注力しています。

主要な顧客は大手小売や電子商取引(EC)企業、中小事業者および一般家庭で、企業向けや消費者向けの幅広い発送需要を担っています。収益構造は主に米国内と国際の小包事業に依存し、残りをフォワーディングや物流などのサプライチェーン事業が占めています。2024年はAmazonが売上の約11.8%を占め、2025年には同顧客との合意により出荷量を大幅に削減する計画があり、同社はより高収益な取扱いへのシフトを進めています。

事業は大きく米国国内の小包事業、国際小包事業、そしてサプライチェーン事業の三つに分かれています。米国内事業は広範な地上配送網とルイビルを中心とする航空ハブで構成され、国際事業は欧州・アジア・北米・中南米を含む200以上の国と地域をカバーして日付・時間指定のサービスを提供しています。サプライチェーン事業は輸送手配、通関、医療向けの低温配送、返品や同日配送などのデジタル連携サービスを含み、低温物流強化のための買収などにも取り組んでいます。

経営方針

同社は高い収益性の確保と効率化の両立を目指しています。過去の取り組みでは「Transformation 1.0」で約10億ドルのコスト削減を達成し、続く「Transformation 2.0」では組織の階層削減で当初約4億ドルの恒常的な効果を見込み、さらに最大で追加の2.4億ドルを狙っています。2024年末時点でTransformation 2.0に係る費用は約7.98億ドルを計上しており、残る投資は約9,000万ドルを見込んでいます。加えて同社は顧客構成の変化に対応し、2024年の売上の約11.8%を占めた大口顧客との取り扱い量を戦略的に見直すことで、より利幅の高い取引へシフトすることを目指しています。

重点投資分野はネットワークの効率化と高付加価値のサービスです。同社は世界200か国以上に展開する空・地の統合ネットワークを強みとし、日々約1,600万件の陸上配達を処理する規模を活かして差別化を図っています。医療・ヘルスケア向けのコールドチェーンや温度管理技術に継続投資しており、物流部門ではMNX買収による約3.03億ドル分の収益寄与などで、医療分野の成長を取り込んでいます。一方、非戦略事業の見直しは進めており、2024年には貨物仲介事業「Coyote」を売却して約10.02億ドルの純収入を得るなど、ポートフォリオ最適化で資金と経営資源を重点分野へ再配分しています。

新市場開拓と事業拡大では、国際的なヘルスケア物流の強化を明確にしています。2025年1月にはドイツ拠点のFrigo‑TransとBiotech & Pharma Logisticsを約4.4億ドルで取得し、国際的な複雑コールドチェーン能力を拡充しました。返品ソリューションや即日配送などのデジタルサービスにも注力しており、2023年のHappy Returns買収などでリターン処理の高度化を図っています。また、米国内の一部サービス(UPS SurePost)の社内化など、提供コントロールを高める施策で顧客満足とサービス品質を向上させる計画です。

技術革新への取り組みは経営戦略の柱の一つで、同社は「スキャンからセンシングへ」の転換を進めています。具体的には無線識別(RFID)を使った「Smart Package Smart Facility」や、クラウド基盤へのデータ移行、自動化による手作業削減、財務・給与・スケジューリングシステムの刷新といった施策を実行中です。Transformation 2.0での技術投資は短期的に費用を要しますが、同社はこれにより標準化されたデータと自動化で長期的に運用コストを低減し、2025年以降に改善効果を実現することを目指しています。