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UPBOUND GROUP, INC.UPBD
事業内容
UPBOUND GROUP, INC.は、テクノロジーとデータを活用して、従来の金融サービスで取り残されがちな消費者向けに利用しやすい金融ソリューションを提供する企業です。主力は「リース・トゥ・オウン(lease-to-own)」型の取引で、顧客が長期の負債を負わずにブランド家電や家具などを使い始められる仕組みを展開しています。
同社の主要な顧客はクレジット履歴が薄いか限定的な消費者で、第三者小売店を通じた顧客や直営店舗・オンライン経由の顧客にサービスを提供しています。収益はリース料や早期買取などの顧客支払い、商品販売や提携先小売りからの手数料、最近では金融ヘルステクノロジー事業からの手数料や前払い給料等の収益が中心です。
同社は事業を大きく三つのセグメントで展開しています。Acimaは多数の第三者小売店やECでリース契約を提供し、小売の売上拡大を支援するモデルです。Rent-A-Centerは直営店舗と電子商取引を組み合わせた統合顧客体験で家具・家電・電子機器などのレンタルと販売を行い、2025年には家計管理や早期給与受取、信用形成支援を行うBrigitを買収して金融サービス領域に幅を広げています。
経営方針
同社はテクノロジーとデータを軸に、従来のリーストゥーオウン事業の拡大と金融サービス分野への成長を両輪で進めることを目指しています。株主還元と資本効率の改善も重視しており、四半期配当として2025年第一四半期に1株あたり0.39ドルを支払い、株式買戻しプログラムは最大5億ドルで承認されており、2024年12月31日時点で約2.35億ドルが残っています。一方で総有利子負債は2024年末で約13億ドルと高水準にあり、2025年1月31日のBrigit買収(最大4.6億ドル:現金約2.787億ドル+約270万株の株式、さらに7,500万ドルの繰延対価と最大6,000万ドルのアーンアウト)では一部をABL借入で賄うなど、成長投資と財務バランスの両立を図っています。
重点投資分野は小売店向けのAcima事業と自社のRent‑A‑Center事業を含むリーストゥーオウンのオムニチャネル化、そしてBrigitを通じた金融ヘルス領域です。Acimaでは提携小売店を通じた店舗・EC双方の導入拡大で需要獲得を図り、Rent‑A‑Centerでは実店舗とeコマースを統合した顧客体験を強化しています。差別化策としては、データに基づく与信や柔軟なリース設計、小売パートナーとの連携により「高品質製品を分割して利用できる」利便性を提供しており、2024年には社内開発の新しい販売時点情報管理システム(POS)を全店展開し、展開に伴う減価償却の調整(2024年は約610万ドルの加速償却)を行うなど運用基盤の近代化にも投資しています。
新市場開拓と事業拡大では、Brigit買収により給与前受けや貯蓄を通じたクレジット構築などの金融ヘルス機能を獲得し、既存のリース顧客層へ付加価値サービスを提供することを目指しています。メキシコやフランチャイズ事業の展開を継続するとともに、店舗網の最適化も進めており、2024年前半に55店舗を閉鎖し、同年9月には別のフランチャイジーへの55店舗売却で約1,910万ドルの現金を得るなど、リアル店舗の効率化とフランチャイズモデルの活用で資源配分を見直しています。Brigitはすでに数百万人の利用実績があり、同社はこれを足掛かりにデジタル金融サービス市場へ段階的に拡大することを目指しています。
技術革新への取り組みとして、同社は内部開発ソフトウェアやデータ分析、サイバーセキュリティに継続投資しています。具体的には新POSの全店展開、Brigit統合に係る取引費用(2024年の四半期で約370万ドルの取引費用計上)や与信モデルの高度化を進め、銀行パートナー(例:Coastal Community Bank)との連携を通じて信用構築や前払い給与の提供基盤を整えています。ただし銀行提携や規制対応は事業継続にとって重要なリスク要因であるため、同社は第三者リスク管理やコンプライアンス体制の強化にも注力し、技術と規制対応の両面から成長を支えることを目指しています。