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UNIVERSAL HEALTH REALTY INCOME TRUSTUHT
事業内容
Universal Health Realty Income Trustは、医療および人間サービス関連施設に投資する不動産投資信託(REIT)です。同社は急性期病院や行動健康病院、医療用オフィスビル、独立型救急部門、保育施設などの不動産を取得・開発して医療機関や運営会社に賃貸しています。投資物件の賃料収入や物件売却による資金を再投資することが主な事業活動です。
主要な顧客は病院や医療運営会社で、特にUniversal Health Servicesの子会社が主要テナントになっています。同社の収益は主に賃貸収入で、2024年には賃料の約27%が急性期・行動健康・独立型救急を運営するテナント(その多くがUHS)からの収入でした。加えて、持分法で会計処理するジョイントベンチャーの持分からの収益もあり、2024年はそれらから約8%の収入が生じています。
同社は全物件を一つの報告セグメントとして運営し、各物件を個別に監督してパフォーマンスを評価しています。ポートフォリオは全米21州に76件あり、内訳は病院6件(急性期3件・行動健康3件)、医療用オフィスが約60件、独立型救急4件、保育所4件などです。低採算の物件は売却して得た資金を新規開発や取得に再投資する方針を取っています。
経営方針
同社は安定配当の維持とポートフォリオの着実な拡大を成長戦略の中心に据えています。具体的には、2025年2月時点で全米21州に76件の不動産投資・コミットメントを保有しており、保有純不動産残高は2024年末で約4.259億ドルです。成長資金は主に内部発生キャッシュフローと外部調達に依存しており、425百万ドルのリボルビング・クレジット枠(2024年末の実行余力は約76.1百万ドル)や、最大1億ドルの公募上限を想定したシェルフ登録を通じて資金供給を確保しています。同社は金利変動リスクにも配慮しており、変動金利債務に対する金利スワップ等のヘッジを行った結果、金利が1%変動すると純利益に約180万ドルの影響が出ると試算しています。
同社は投資対象を医療・人材サービス関連の不動産に特化することで差別化を図っています。ポートフォリオは急性期病院3件、精神医療3件、フリー・スタンディング救急(FED)4件、医療・オフィスビル60件、保育施設4件などで構成され、医療機関敷地近接の医療オフィスビルを多数保有している点が強みです。大口テナントとしてユニバーサル・ヘルス・サービス(UHS)系が収益の約40%を占める一方、同社は長期賃貸や共同事業(非支配持分33~95%のLLC/LP)を活用してリスクと収益のバランスをとっています。低採算物件は意図的に売却し、得た売却益を新規開発や買収に再投資する方針で「所定の期待利回り」を満たすことを目指しています。
新市場開拓や事業拡大については、既存の医療関連領域での追加取得と新規開発が主軸です。同社は病院付近の医療オフィスビルや専門施設の開発・取得を進め、売却・取得を繰り返してポートフォリオの質を高めることを目指しています。資金面ではリボルビング枠、商業モーゲージの借り換え、長期負債や株式発行を組み合わせる計画で、実行例として2024年に共同出資者からの追加拠出で建設ローンの約570万ドルを返済し、関連する信用状3.1百万ドルを解消したことが挙げられます。ただし建設資材や労務費の上昇、金利環境の変化は投資採算に影響するため、同社は資本構成の継続的な見直しで対応するとしています。
技術革新への取り組みは主にガバナンス、リスク管理、ESG対応の強化に向けられています。同社は内部統制の整備と開示体制の強化を重視しており、経営陣による開示管理の評価やCOSO(2013年版)基準に基づく内部統制の評価を実施し、KPMGによる内部統制監査で有効と評価されています。金利リスク管理では金利スワップ等の金融派生商品を活用して損益変動を抑制しており、ESG面では気候関連リスクや省エネ投資の必要性を認識して報告・対応体制を整備中です。賃貸事業者が主導する医療サービス側の技術導入を支援する形で、物件側では省エネ改修や報告システムの整備を通じて資産価値の維持・向上を図ることを目指しています。