UNIVERSAL ELECTRONICS INCUEIC

時価総額
$4334.5万
PER
ホームエンターテインメントとスマートホーム向け制御機器の大手。RF・音声対応ユニバーサルリモコン、低消費電力マイコン、クラウド制御ソフトを展開。2022年2月にQtericsを約90万ドルで買収。米国、欧州、中国、アジア、南米に展開。

事業内容

Universal Electronics Inc.は家庭向けのスマートコントロール技術を中心に事業を行う企業です。主力はテレビや音響機器を操作するリモコンや、家庭内の機器をつなぐソフトウェアとクラウドサービス、温度管理に使う気候制御機器やセンサー類です。ユーザーが簡単に家中の機器やコンテンツを操作できる体験の提供を目指しています。

同社は映像配信事業者や家電メーカー(OEM)、小売業者、システムインテグレーターなどに製品と技術を販売しています。収益はハードウェアの製品販売に加え、クラウドやソフトウェアのライセンス収入、代替リモコンなどの小売販売によって構成されています。主要顧客に依存する部分があり、過去にはDaikinやComcastが大きな売上先になっています。

同社は報告上は単一セグメントで事業を展開し、製品ラインは家庭用エンターテインメント向けのリモコンや付属品、スマートサーモスタットを含む気候制御製品、住宅向けセンサーや低消費電力のマイクロコントローラ、そしてデバイス連携を支えるソフトウェアとクラウドサービス、知的財産のライセンスに分かれます。One For Allブランドでの代替リモコンや取付け金具といった小売向け商品も取り扱っています。製造とサプライチェーンは世界各地にあり、その規模と構成が収益やコストに影響しています。

経営方針

同社は中長期(3〜5年)での収益パイプライン構築を成長戦略の中核に据えています。具体的には上位10社の大手空調機器(HVAC)メーカーとの設計採用獲得を通じて顧客基盤を強化し、UEI TIDEファミリーを集合住宅や公益事業チャネルで商業展開することを目指しています。財務面では、2024年の営業損失は1,530万ドル(営業損失率3.9%)と2023年の8,530万ドル(20.3%)から改善しており、営業費用率も売上比で43.5%→32.7%へ低下しました。同社は内部キャッシュフローと既存のコミットされた与信枠を組み合わせ、少なくとも今後12か月の資金需要を賄える見込みを維持する方針です。

重点投資分野はソフトウェア/クラウドサービスと気候制御ソリューション、低消費電力の無線マイコンなどのコア技術です。QuickSet Cloudやコンテンツパーソナライゼーション、プライバシー重視の在室検知といったソフト機能を強化することで、単発のハード売上に依存しないライセンス型の継続収入を創出することを目指しています。研究開発費は2024年に2,970万ドル(2023年の3,130万ドルから減少)でしたが、同社はAI駆動のクラウドサービスやデバイス内AIの拡充に資源を振り向け、ソフトウェア+クラウドを差別化要素として競合との差別化を図っています。

新市場開拓では、ブロードバンドゲートウェイやテレビ用OS、市場別の直接販売(D2C)チャネルなどへの展開計画があります。UEI TIDEの集合住宅/ユーティリティ向け導入を初期実装として事例を作り、これを起点に他チャネルへの横展開を図る戦略です。また製造面ではサプライチェーンのリスク軽減とコスト最適化を目的にメキシコや中国の一部工場を整理し、設備移転や第三者製造の活用を進めており、2024年には工場再編関連で360万ドルの費用を計上しています。さらに補完的な技術や販路を得るための買収や戦略的提携も模索しています。

技術革新への取り組みとしては、通信規格や相互運用性の強化を重視しており、Wi‑Fi 6やThread、Matter、Z‑Wave Long Rangeなど新しい接続規格への対応を進めています。加えてAI技術をユーザー体験の高度化(例:個人化されたコンテンツ提示、オンデバイスでの存在検出)や運用効率向上(例:予防保守データ)に活用し、ファームウェア配信やデジタル著作権管理といった既存のIP・クラウドサービスと組み合わせて収益化する方針です。同社はこれらの技術投資でハードとソフトを一体化したソリューションを提供することを通じ、顧客にとっての開発パートナーとしての競争優位を確立しようとしています。