UDR, Inc.UDR

時価総額
$114.9億
PER
賃貸アパート運営の大手。2024年12月31日時点で169コミュニティ、55,696戸の運用と再開発を展開。2024年に5.125%社債300百万ドル発行、物件売却で資金調達と配当支払い。米国内21市場で展開。

事業内容

UDR, Inc.は米国を中心に賃貸用アパートを取得・開発・運営する大手の不動産投資信託(REIT)です。同社は居住用アパート群を保有して入居者向けに賃貸サービスを提供し、オンラインでの入居申請や保守依頼などの仕組みで運営効率を高めています。現在は複数の主要市場に広がる多数のコミュニティを保有し、規模のメリットを活かした運営を行っています。

同社の主要な顧客は賃借人で、賃料収入が収益の中核を占めています。加えて駐車場や各種手数料、物件売却による一時的な収益や共同事業からの収益も得ており、賃料という安定収入と資産売買によるキャピタルゲインを組み合わせて収益を構築しています。

事業は主に賃貸物件の運営、開発(新設)、既存物件の改修・再開発、そして共同事業による保有という複数の領域で展開しています。運営部門は入居率や家賃管理に重点を置き、開発・改修は資産価値と賃料の向上を目的に投資を行っています。同社は多様な資金調達手段を用いて財務基盤を維持し、市場ごとに投資配分を調整しています。

経営方針

同社は「投資家にとっての選択肢となる上場マルチファミリーREIT」を目指しています。具体的には地理的・物件クオリティの分散を維持しつつ、キャピタルを収益性の高い投資先に配分することで長期的な成長を狙っています。実績としては2024年の総収入が前年同期比で約2.7%増加し、同一物件ベースの収入は2.3%増、営業純利益(NOI)は1.5%増と堅調な推移を示しています。ポートフォリオは169コミュニティ、55,696戸、帳簿価額で約$16.21 billionを有しており、都市/郊外比率を約30%/70%、物件等級のA/B比を約44%/56%に保つことで景気変動への耐性を高めようとしています。

同社は重点的に取得、開発、再生改修に投資しています。2024年にはタンパ(フロリダ)とアディソン(テキサス)で計415戸の開発を完了し、同年の大規模改修費用は約$51.4 millionに上りました。また、ジョイントベンチャーからの分配で$102.4 millionを受領し、他方で4件のJVに計$35.0 millionを出資するなど、共同事業を通じて資本効率を高める手法を採っています。差別化面では物件管理から開発、営業、資金調達までを自社で統合的に運営する点や、21市場にまたがる地理的分散、地域に根ざした運営ノウハウを武器に、賃料や入居率の改善を図っています。財務面では5.125%、満期2034年で$300 millionの中期債を発行する一方、借入枠の延長(回転信用枠を2028年まで延長)などで堅固な資金調達基盤を確保しています。

同社は今後も成長が見込まれるマーケットへの選択的な展開を計画しています。市場選定の基準は雇用・所得の伸び、賃貸志向の強さ、賃貸対購入の相対的な手頃さ、新規供給の見通しなどを重視しており、これに基づいて取得・処分やJV組成を行う方針です。実際、事業ポートフォリオの入れ替えは積極的に行っており、2024年にはアーリントンの物件売却で約$100 millionの売却収入と約$16.9 millionの売却益を計上しました。一方で年末時点では大規模な新規建設は行っておらず、将来の着工に備えた事前開発コストを資本化するなど、慎重かつ機動的な拡大を意図しています。

同社は技術革新にも力を入れています。入居者向けのウェブポータルやスマートフォンアプリで24時間のオンライン申込・契約更新・保守依頼を可能にし、これにより入居者満足度の向上、マーケティング費用の削減、賃料管理の精度向上といった効果を実現しています。サイバーセキュリティ対策や情報セキュリティ管理体制を整備し、内部統制については外部監査法人からの無限定意見を得ている点も、デジタル化のリスク管理における具体的施策です。加えてESG開示を強化し、国際的な基準(GRI、SASB、TCFD)に沿った報告を行うほか、グリーン認証取得により借入金利のマージンが最大で0.02%(2ベーシスポイント)改善される仕組みなど、環境面の取り組みを金融面のインセンティブに結びつけています。