TEXTRON INCTXT

時価総額
$143.6億
PER
航空機・防衛メーカーの大手。民間機と軍用ヘリの機体、アフターサービスと部品供給を展開。23年7月に3500万株の自社株買い枠承認、2024年Q4に279.5万株買戻し、2024年の米国政府向け売上比率25%。米国を拠点に欧州ほか世界展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Textron Incは航空機・防衛装備品と産業用機器を中心に手掛ける多角的な製造企業です。商用・軍用の固定翼機やヘリコプターの設計・製造を行い、部品供給や整備・カスタマイズといったアフターサービスも提供しています。

同社の顧客は米国政府や各国の防衛機関、航空会社、企業や個人の機体購入者、産業向けの事業者に分かれます。2024年には米国政府関連の契約が売上の約25%を占め、機体販売に加えて部品・保守サービス、特殊車両の販売や顧客向けファイナンスが収益の柱になっています。

同社は大きく航空機事業、防衛・ミッションシステム事業、産業製品事業、ファイナンス事業の四つのセグメントで展開しています。航空機事業は固定翼機とヘリコプターの販売とアフターサービス、防衛部門は統合ソリューションとサポート契約、産業部門は燃料系部品や特殊車両などを扱い、ファイナンス部門が販売支援のための資金供給を行っています。

経営方針

同社は安定した成長と収益性の向上を目指しています。2024年の連結売上高は約137億ドル($13,702M)で、事業別ではTextron Aviationが約53億ドル、Bellが約36億ドル、Industrialが約35億ドルを計上しました。受注残(バックログ)は2024年末で179億ドルに達しており、同社はこの残高の約76%を2026年までに収益化する見込みとしています。2024年は航空部門での労働争議による納期遅延が業績に影響したものの、同社は営業キャッシュフローで10億ドルを創出し、株主還元として11億ドルを自己株式買い戻しに充てるなど、資本配分を通じて成長と株主価値の両立を図っています。

同社は投資を集中する分野を明確にして差別化を図っています。研究開発投資は2024年に約4.91億ドル、設備投資は約3.64億ドルと積極的で、特にBellでは米陸軍向けの次期垂直離着陸機(FLRAA)プログラムの立ち上げが売上成長に寄与し、同部門は年率で約14%の売上増を実現しました。さらにTextron Systemsでは船陸連絡艇などの大型契約、Textron Aviationではアフターマーケット部品や新製品が需要を下支えしており、航空・防衛・産業の複合ポートフォリオを活かした収益の安定化を狙っています。一方で、産業用のパワースポーツ事業については戦略的見直しを進め、資源配分の最適化を図る方針です。

新市場の開拓と事業拡大では、電動化と防衛の両輪を推進しています。電動航空(Textron eAviation)では都市型の短距離輸送や小型貨物機向けの電動・ハイブリッド機ラインナップ構築を長期目標に掲げ、製品化と認証の取得を通じて新たな需要を取り込みにいきます。防衛分野では米政府向け契約が全社売上の約25%を占めており、FLRAAのエンジニアリング・製造段階での約30億ドル規模の契約獲得などによりバックログが増加、これを基に供給能力とアフターサービス網の拡大を進めています。

技術革新への取り組みは投資とリスク管理を両立させた形で行われています。同社は研究開発に約4.91億ドルを投じ、電動化、燃料システムや機能部品の高度化、製造工程の効率化を進めていますが、新製品の認証や量産移行は時間とコストを要するため、開発遅延や想定外の費用増を想定した管理を強化しています。またサプライチェーンやサイバーセキュリティ、規制対応にも注力し、技術的ハードルや市場変化に備えつつ、差異化できる製品・サービスの開発で中長期的な競争優位を築こうとしています。