180 DEGREE CAPITAL CORP.TURN

時価総額
PER
精密医療とライフサイエンスへの投資運用の有力企業。ベンチャー向けの戦略支援、経営参与、資本供給を展開、ポートフォリオ約21社。1983年のIPO、1995年のBDC化、2015年以降の自社株買い実施。米国中心に展開。

事業内容

180 DEGREE CAPITAL CORP.は、割安と判断した小型の上場企業や成長途上の未公開企業に投資し、資本提供と経営関与を通じて企業価値の向上を目指す投資会社です。同社は単なる出資にとどまらず、経営陣への助言や場合によっては役員派遣などで事業再建や成長支援に積極的に関わります。

主要な「顧客」は株主や共同投資家であり、収益は投資先からの配当・利息や、投資売却によるキャピタルゲインが中心です。さらに投資先への経営支援や資金調達支援に伴うサービス収入やマイルストーン収入を得ることもあり、これらを組み合わせて株主価値の拡大を図ります。

事業は大きく、公開株投資と私募(未公開投資)の二本柱で構成され、ライフサイエンス、エネルギー、エレクトロニクスなど複数分野に分散しています。保有比率に応じて非支配投資、関連会社、支配会社と分類し、必要に応じて追加出資や経営戦略立案、人材紹介、M&A支援など具体的な支援メニューを実行します。

経営方針

提供された資料(Harris & Harris Group の10-K)によると、180 Degree Capital Corp. は2016年に新たにポートフォリオへ加えられた「早期段階」の投資先のひとつとして位置づけられていました。従って同社の成長戦略は短期的に大きな売却益を狙うよりも、事業の熟成を通じたバリューアップと、最終的な流動化(上場やM&A)でのエグジットを目指すものでした。資料では180 Degree自体の公表された数値目標は示されていませんが、同運用会社は成熟した投資案件からの実現利益の一部を配当や自社株買いで株主に還元する方針を掲げており、180 Degreeもそのようなポートフォリオ成熟の一環として扱われていました(なお、180 Degreeは2017年2月17日に解散し、投下資本は全額返還されています)。

重点投資分野と差別化の面では、同資料を運用する側が「ライフサイエンス、エネルギー、エレクトロニクス」といった変革をもたらす科学技術領域を重視している点が特色です。これらの分野に対しては単なる資金提供にとどまらず、経営陣の招聘、事業戦略や知財戦略の策定支援、資金調達の仲介などハンズオンでのバリューアップを行うことで他の投資家との差別化を図っています。投資先に対しては場合によっては取締役会への参加や経営支配も行い、ポートフォリオの成長を直接的に後押しすることを目指しています。

新市場開拓や事業拡大の計画としては、運用側が小型公開企業への「建設的アクティビズム(constructive activism)」に注力し、より流動性のある銘柄への投資比率を高めることでポートフォリオの回転率を上げ、短期〜中期での利益実現を図る方針が示されています。また、共同投資ファンド(H&H Co‑Investment Partners)を立ち上げ、外部の適格投資家と共に資金を募って特定案件に参画することで、資本効率を高めつつ投資機会を拡大する計画が明記されています。180 Degreeについては解散により直接の事業拡大計画は終了しましたが、このような運用方針の下で類似の早期案件は外部資金や共同出資を活用して市場投入・拡大を図ることが想定されます。

技術革新への取り組みでは、同社グループは「破壊的な科学」に基づく事業化を重視しており、投資先の技術を商用化するための具体的施策を実行しています。具体例として、量子コンピュータのD‑Wave、創薬プラットフォームのMersana、農業バイオのAgBiomeといったポートフォリオ企業での資金調達や提携拡大、臨床・開発マイルストーン達成に向けた支援が挙げられます。こうした支援は技術価値を市場価値に結びつけることを目的としており、同社は技術の早期実装と外部パートナーとの連携を通じて投資リターンの最大化を目指しています。