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- TILE SHOP HOLDINGS, INC.
TILE SHOP HOLDINGS, INC.TTSH
事業内容
TILE SHOP HOLDINGS, INC.は米国でタイルと床材を専門に扱う小売企業で、天然石や人工石のタイル、高級ビニルタイル、接着剤やメンテナンス材料、関連アクセサリまで幅広く取り扱っています。同社は広い実店舗のショールームとウェブサイトを通じて商品を展示・販売し、店舗でのデザイン提案を重視しています。
主要な顧客は住宅の所有者と内装業者などのプロフェッショナルで、販売は対面の店頭販売とオンライン注文を組み合わせ、店頭受取や配送で顧客に届けています。同社は自社ブランド商品の比率が高く、メーカーからの直接仕入れや自社での一部製造により価格競争力を確保し、商品販売と付加サービスで収益を上げています。
事業は主に小売店舗運営、中央配送・在庫管理、そして自社ブランドの企画・製造に分かれています。同社は6,000点以上の品揃えを維持し、店舗内で複数の生活空間を再現する展示を行うことで購買体験を高め、米国内の複数の配送拠点で在庫と物流を集中管理しています。
経営方針
同社は「優れた品揃え」「卓越した顧客サービス」を軸に、収益性の回復と持続的な成長を目指しています。2024年の売上高は3億4,707万ドル、営業利益は350万ドルと前年から減少しましたが、粗利益率は64.4%から65.7%へ改善しています。短期的には新規出店による拡大よりも既存店舗の改善で利益を出す方針を掲げており、2025年は新店出店を予定せず、不採算店を2店舗閉鎖する計画を取っています。また、閉鎖や組織合理化の取り組みにより年間で約280万〜410万ドルの販管費削減を見込んでおり、同社はこれらの施策で営業余力を高めることを目指しています。
同社はプロプライエタリ・ブランドとグローバルな直接調達を重点投資分野として差別化を図っています。6,000品目超の自然石・人工石・ラグジュアリー塩ビタイルなどを自社ブランドで揃え、施工材料の自社製造やサプライヤーとの直接交渉で価格競争力とマージンを確保しています。店舗は最大50の生活空間展示(バスルームやキッチン等)で商品を体感できるように設計され、販売員には設置や施工に関する一対一の教育を行うなど顧客満足度向上に資源を投じています。このような品揃え、接客、店舗体験の組み合わせが同社の競争優位性です。
新市場開拓や事業拡大は、物理的な店舗数の急拡大ではなく供給網とチャネルの強化を通じて進めています。物流面ではミシガン、オクラホマ、バージニア、ウィスコンシンにある4つの主要配送センターで店舗をカバーし、2024年にはニュージャージーの配送センターを閉鎖してサブリースを模索するなどコスト最適化を図りました。オンライン販売や店舗受取、宅配サービスを組み合わせるO2O(店頭とオンラインの融合)戦略を重視しており、2024年の営業キャッシュフローは約2,710万ドル、設備投資は約1,450万ドルで、手元現金は約2,095万ドルまで積み上げています。これにより、同社は店舗網の効率化と物流改善で成長機会を追求しています。
技術革新については情報システムとデジタルチャネルへの投資を続け、店舗ごとの実行力を高めるための報告プロセスや在庫可視化の強化に取り組んでいます。TileShop.comの充実やデジタル広告を通じた集客を進め、2024年はIT費用が約90万ドル増加したと報告されています。一方で、同社も導入コストやシステム移行時の中断リスクを認識しており、適切な投資選定と段階的な実装で業務影響を最小限に抑えつつ、店舗生産性と顧客体験の向上を目指しています。