TotalEnergies SETTE

時価総額
PER
石油・ガス・電力の統合エネルギー事業の最大手。LNG、精製・化学、潤滑油、EV充電などのソリューションを展開。2024年12月にSapuraOMV上流事業を買収、2024年2月に米テキサスで1.5GWの発電設備を取得。欧州・米国・アフリカ・アジアで展開。

事業内容

TotalEnergies SEは世界的な総合エネルギー企業で、石油・天然ガスの探査・採掘から精製、石油化学製品の製造、液化天然ガスや電力・再生可能エネルギーの開発・供給まで幅広く手掛けています。主力は原油や天然ガスの販売、精製燃料、潤滑油や化学品に加えて、太陽・風などの再エネとそれに伴う電力供給です。

同社の顧客は電力会社や化学メーカー、航空・海運業などの大口産業と、全国の販売網を通じた一般消費者に分かれています。収益は原油・ガスの販売に伴う価格変動の影響を受ける上流事業と、精製・販売で得る差益、さらに発電や再エネの長期契約による比較的安定した収入が組み合わさって成り立っています。

事業は主に探査・生産、液化天然ガスや発電、精製・化学、販売・サービス(ガソリンスタンドや潤滑油など)の四つの分野で運営しています。各分野は世界各地に展開し、上流は資源開発、精製・化学は原料の加工と付加価値創出、発電・再エネは太陽や風、蓄電を組み合わせた事業拡大に注力しています。

経営方針

同社は長期的に「ネットゼロ(2050年)」を目指しつつ、石油・ガスから低炭素電力や再生可能エネルギーまで幅広く手がける「統合型エネルギー企業」への転換を成長戦略の中核に据えています。2024年末時点で、持分法適用会社の合計簿価は27,872百万ドル、同年の持分による利益は1,575百万ドルと、従来事業のキャッシュ創出力を基盤に低炭素投資を拡大する資金的余力を示しています。こうした財務基盤を背景に、同社は石油・ガスの収益性を維持しながら電力・ガス・LNGといった分野での収益構造の転換を進めています。

同社が重点的に投資する分野は、天然ガス/LNG、低炭素の発電(太陽光・風力・蓄電)、ならびに顧客接点を活かしたモビリティ領域です。2024年にはマレーシアのSapuraOMV Upstreamの取得を完了し、天然ガス供給基盤を強化しました。また、米国テキサスで合計1.5GWのガス火力発電設備を取得するなど、発電ポートフォリオの拡充にも具体的に投資しています。差別化要因としては、上流(探査・生産)からLNG・発電・販売までを統合して最適化できるビジネスモデルと、Novatekなどの液化事業を含む持分投資(例:Novatek出資比率は約19.4%)を通じた供給確保が挙げられます。

同社は新市場の開拓と事業再編を並行して進めています。アフリカや中東、アジアにおける権益取得や売却を通じてポートフォリオを再構成しており、例えばトリデントとの取引によりコンゴでの一部権益移動やナイジェリアでのJV売却を実施しています。財務上では、ある資産を「売却保有資産」として計上する事例もあり(例:Nkossa等の資産391百万ドル・負債107百万ドル、SPDC関連資産1,213百万ドル・負債945百万ドルなど)、選択と集中で成長分野へ資源を振り向ける方針です。加えて、リオグランデLNGなど大型LNGプロジェクトへの関与を通じて世界的なガス需要への対応を図っています。

技術革新では、同社は二酸化炭素の回収・貯留、低炭素水素、蓄電池システム、そして電動車向け充電インフラの整備に注力しています。英国のWest Burton Energyにおける蓄電システムや、太陽光・洋上風力の共同開発プロジェクトなど、現地での具体的な設備投資を進めています。研究開発や外部パートナーとの連携で技術成熟を加速させ、従来の化石燃料ビジネスの収益性を活かしつつ低炭素事業のコスト低下と拡大を目指しているのが同社の特徴です。