TORO COTTC

時価総額
$69.1億
PER
プロ・住宅向け芝刈り機器などの世界的最大手。電動・スマート接続・自動化製品を展開。22年1月にゼロターン芝刈り機を3億9980万ドルで買収。創業100年超の老舗。2024年度にプロ製品が売上の77.6%を占める企業。米国・欧州を中心に展開。

事業内容

TORO COは、プロ向けと家庭向けの芝生管理機器、灌漑(かんがい)設備、除雪機などの設計・製造・販売を主力とする企業です。同社はターフ管理用の乗用・歩行式機械や散水システムを中心に、近年は代替動力やスマート連携、自動化を取り入れた製品開発に注力しています。

同社の主要顧客はゴルフ場、造園業者、レンタル会社、自治体、農業事業者、そして家庭の個人消費者です。売上構成ではプロ向けが大半を占め、プロ製品の方が一般に利益率が高いため、製品ミックスが業績に大きく影響します。

事業はプロ向けと住宅向けの二つのセグメントに分かれており、プロ向けはターフ管理、ゴルフ、造園、地下工事、除雪、農業向けの製品群を含みます。住宅向けは家庭用芝刈り機や園芸機器、灌漑製品が中心で、販売はディーラーや量販店、オンライン、直接販売の組み合わせで展開しています。

同社は世界各地の試験拠点と生産拠点で設計・試験・量産を一体的に行い、垂直統合したコア加工や外部ベンダーとの協業でコスト低減と品質向上を図っています。成長は新製品投入や戦略的買収で支え、ディーラーファイナンスや在庫ファイナンスといった顧客向けの資金手段で販売を後押ししています。

経営方針

同社は持続的な収益成長とコスト効率の向上を両立させることを目指しています。直近の連結売上高は2024会計年度で約45.8億ドル(前年度比0.7%増)で、プロフェッショナル部門が約35.6億ドル(同3.2%減)、住宅向け部門が約10.0億ドル(同16.9%増)となっており、製品ミックスの変化を踏まえた成長管理を進めています。加えて、同社は「AMP」と呼ぶ生産性向上イニシアチブを掲げ、設計・調達・流通・生産の見直しで2027会計年度までに年間1億ドル超のコスト削減を目標としています。

同社は重点投資分野として、替わり得る動力(電池・ハイブリッド)、スマート接続、そして自動化対応製品を挙げており、この分野で差別化を図ろうとしています。たとえばゴルフ市場では機械と灌漑(かんがい)製品の両方を提供する唯一の企業であることを強みとし、射出成形や鋳造など一部のコア製造工程を自社で保持する垂直統合や、物流・販売網(ディーラー、量販店、レンタル業者)を通じたサービス提供で競合と差をつけています。戦略的買収や提携も重要施策で、2022年に約3.998億ドルで取得したIntimidator(Spartanブランドのゼロターン芝刈機)や、小売り大手との提携(例:Lowe’s)によるチャネル拡大がその具体例です。

同社は新市場開拓と事業拡大に際し、選択と集中の方針を採っています。海外売上は全体の約20%前後であり、長期的には国際比率の拡大を目指しているため、現地生産と販売拠点の整備や、現地ディーラーへの在庫融資を担う合弁(Red Iron)など顧客向け金融サービスの整備を進めています。加えて、製品や販売チャネルごとの収益性を重視しており、プロ向け製品の利幅の高さを維持しつつ、住宅市場でのボリューム拡大を図る資本配分(配当の増額や自社株買い)を継続しています。

同社は技術革新を経営戦略の中核に位置づけています。世界各地の試験拠点で顧客要求を反映した開発(Voice of the Customer)を行い、製品設計段階から生産性を考慮する「設計と生産の同時検討(Design for Manufacturing and Assembly)」やリーン生産手法、ロボット・自動化設備の採用で開発期間短縮と品質向上を図っています。加えて、電動化やスマート化に関する外部技術の獲得を目的とした選別された買収や協業も継続し、環境負荷低減の目標や製品の信頼性確保を両立させる投資を進めています。