Trane Technologies plcTT

時価総額
$892.2億
PER
空調・産業用冷凍機器の大手。商業用HVAC、輸送用冷凍機、ビル管理システムやメンテナンスを展開。2023年に約843百万ドル、2024年に174.5百万ドルの買収を実施。約100カ国で展開、2024年の海外売上比率26%。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Trane Technologies plcは、商業用・住宅用の暖房・換気・空調(HVAC)システムと、トラックやコンテナ向けの輸送用温度管理ソリューションを中心に手がけるグローバル企業です。同社は機器の製造に加え、設置工事、保守・修理、レンタルや長期のサービス契約まで含めた総合的なソリューションを提供しています。

同社の顧客層は商業施設、住宅所有者、物流会社、食品・医薬の冷凍分野など多岐にわたり、特定の顧客に依存していません。米国市場は支店や販売店、代理店経由で販売し、海外は現地子会社と販売網を通じて約100か国で展開しており、2024年は売上の約26%が米国外で発生しました。

事業は地域別にアメリカ、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋のセグメントで運営し、製品群は大型空調機器や冷凍ユニット、パッケージ装置、部品・アフターマーケットサービス、エネルギー効率化や資産管理を含むデジタルサービスなどに分かれます。研究開発や買収を通じて省エネや低温室効果ガス冷媒対応などの技術改良にも注力し、季節変動や供給網リスクに対応しながら成長を目指しています。

経営方針

同社は持続的な収益成長と利益率の改善を目指しています。直近ではセグメント調整後のEBITDA率が2024年に23.9%へと前年から170ベーシスポイント改善しており、これを踏まえて粗利改善や価格の実現を成長と収益性の両輪としています。受注残高は2024年末で約67億5,000万ドル(地域別では米州が約53.2億ドル、EMEAが約5.9億ドル、アジア太平洋が約8.4億ドル)あり、これを基に短期的な売上見通しを立てています。財務面では手元現金約15.9億ドル、商業手形発行枠は最大20億ドル、株式買戻しの方針も進めており(2022年承認3.0億ドル、2024年承認5.0億ドル、2024年に約13億ドルを実施)、配当も「競争力のある継続的な増配」を目標にしています。

同社は差別化の源泉として製品ブランドとサービス基盤を重視し、そのために生産性向上や設備投資、情報システム強化に重点投資を行っています。2024年の研究開発費は約3.1億ドルで、エネルギー効率向上や温暖化係数の低い冷媒対応、材料削減やリサイクル設計などサステナビリティを重視した技術に投資しています。加えて大規模な据付後の稼働機器を通じた保守・部品・サービス収入の拡大を差別化戦略の中心に据え、既存製品のリプレース需要やサービス契約で安定した収益を確保しようとしています。

新市場や事業拡大については、買収と提携を通じた領域拡大を明確な方針としています。2023〜2024年にかけて工業用冷却やライフサイエンス向け冷凍、クラウド型資産管理ソフト(Nuvolo)など複数の買収を実施し、2024年には商業HVACの販売・サービス企業と輸送用冷凍の技術を取得するなど投入資金(2024年の買収支出は純額で約1.75億ドル)で製品群と顧客接点を強化しています。地域別では米州とEMEAが堅調と見ており、アジアは地域ごとに需給が異なるため市場対応を柔軟に変える計画です。加えて設備投資は売上の約2.0%相当を目安に2025年も継続投資する方針です。

技術革新に関しては「2030年までに次世代製品群を揃える」ことと、「顧客のCO2排出量を2030年までに10億トン削減する」という長期コミットメントを掲げ、製品設計プロセスにサステナビリティ評価を組み込んでいます。研究開発投資は製品の省エネ化、低温暖化潜在力の冷媒採用、製品の循環型設計に重きを置きつつ、クラウド型の資産管理や遠隔監視、人工知能を活用した保守支援などデジタル領域の強化も進めています。これらを通じて環境規制が厳しくなる中でも安全性や効率を損なわずに市場競争力を維持することを狙っています。