TSR INCTSRI

時価総額
$2868.3万
PER
16.5倍
契約型コンピュータープログラミングとIT人材派遣の有力企業。独自の人材マッチングシステムと.NET、Java、クラウド、モバイル等の技術者派遣を展開。主要株主が合計45.9%保有。米国ニューヨーク大都市圏中心の全米展開。

事業内容

TSR INCは契約ベースのIT人材派遣とソフトウェア開発を主力とする企業です。同社は顧客先に技術者を常駐させ、短期から長期のプロジェクトでアプリ開発やモバイル、クラウドやセキュリティ、データベース運用など幅広い分野の業務を担っています。

同社の顧客は大手企業や機関が中心で、2023年はConsolidated Edison、ADP、Morgan Stanley、Citigroupがそれぞれ売上の大きな割合を占め、上位10社で約90%の売上を構成しました。収益は主に派遣した技術者の実働時間に対する時間単価で発生し、通常は月次請求、契約期間は概ね3か月から1年程度で顧客は随時契約を終了できます。

同社は「スタッフサービス」事業を軸に、ニュージャージー州エジソンとニューヨーク州Hauppaugeの拠点から国内でサービスを展開しています。専任のリクルーターと必要に応じた海外協力先を使い、独自の候補者データベースとマッチング体制でIT専門職に加え顧客の要望に応じた事務系派遣やペイロール処理などの付帯サービスも取り扱っています。

経営方針

同社は内部の営業拡大と「適切な買収候補の追求」の両輪で成長を目指しています。実際に2023会計年度の売上高は101,433千ドル(約1.01億ドル)で前年から約4.2%増加しており、粗利益率は17.2%に改善しました。財務面では株式の自己取得プログラムを設け(上限50万ドル、同プログラムで2023年度は3,880株を平均8.10ドルで取得)、配当は現時点で予定していないと明示するなど、資本効率の向上を図る施策も進めています。

同社は採用・配置能力への重点投資で差別化を図っています。アプリケーション開発(.NET、Java等)、モバイル(Android/iOS)、クラウド設計・アーキテクチャ、セキュリティ、データベース、ネットワークなど幅広い技術分野の人材を提供し、高単価のITコントラクター比率を高めることで利幅改善を目指しています。採用体制としては米国内に30名のリクルーターを配置し、必要に応じて25〜40名のオフショア採用支援も活用しており、顧客要望に合わせて事務系派遣も行うなど柔軟な供給網を維持しています。

同社は既存の大口顧客基盤を深耕しつつ中堅市場への拡大で収益源の多様化を目指しています。現状では上位4社(Consolidated Edison:21.0%、ADP:18.4%、Morgan Stanley:13.7%、Citigroup:12.5%)が大きな割合を占め、上位10社で約90%を占めるため、顧客集中の緩和とベンダー管理会社経由の取引(約44%)に対する交渉力強化が課題です。成長施策としては既存口座での稼働拡大に加え、戦略的買収による領域補完や地域拡大を検討しており、買収後の統合でシナジーを出すことを狙っています。

技術革新では独自の人材マッチングシステムとデータベースを中核に据え、スキルと案件要件の精度向上を図っています。人材データベースや顧客関係といった無形資産は継続的に管理・償却されており(顧客関係の簿価は報告上で大きな割合を占めます)、候補者のオンライン試験や更新を通じて即戦力化を促進しています。また、知的財産は機密保持契約等で保護している一方、管理体制の維持・改善に注力しており、同社は今後も技術プラットフォームへの投資でマッチング精度と提供サービスの付加価値を高めていく方針です。