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TREVENA INCTRVN
事業内容
TREVENA INCは中枢神経系(CNS)疾患向けの新薬の研究開発と商業化に取り組むバイオ医薬品企業です。主力製品はOLINVYK(オリセリジン)点滴注射で、重度の急性痛を管理するために静脈内オピオイドが必要な成人向けに米国で承認・発売しています。
同社の主要顧客は病院や手術センター、医療卸などの医療機関で、収益は主にOLINVYKの製品販売に依存しています。資金確保の観点から同社は2024年4月にOLINVYKの商業サポートを縮小し、同製品に関する戦略的選択肢の検討を進めています。
同社の事業は承認済み医薬品の販売と、CNS領域における新薬候補の開発という二本柱で成り立っています。商業面ではポストマーケティング対応や競合品との競争を意識した市場展開を行い、開発面では追加の適応や新規候補の可能性を模索しています。
経営方針
同社は現在、保有資産の価値を最大化することを成長戦略の最優先課題としています。具体的には、2024年4月に発表したOLINVYK(オリセルジン)の戦略的見直しを通じて、売却、アウトライセンス、資産の切り離し、米国での販売縮小など複数の選択肢を検討し、株主価値の向上を目指しています。財務面では2023年の純損失が約4,030万米ドル、2023年末時点での累積欠損は約5.88億米ドルと赤字基調が続いているため、同社は資金温存と戦略的取引の実行によって短中期の資本効率を高めることを優先しています。
重点投資は主にOLINVYKの商業展開維持とコスト管理に向けられています。具体的な施策として、2024年4月以降に商業支援を縮小して運転資金を節約しつつ、製造・供給の外部委託契約(例:Alcami、過去のPfizerとの協業等)を維持して製品供給の継続性を確保しています。また、在庫評価の見直しや引当金設定を行い、販売チャネルからの返品リスクや在庫の陳腐化に対応している点が差別化要素です。OLINVYKは既にFDA承認を取得しているため、承認済み製品を有する企業として、第三者へのライセンス提供や売却で即時の収益化を図る戦略的優位性があります。
新市場開拓や事業拡大に関しては、従来の自社直販による拡大よりも、他社へのライセンス供与や資産売却を通じた価値実現を重視しています。取締役会は外部助言を得ながら候補者の評価を進めており、ATM(随時売出し)プログラムなどでの資金調達枠を活用して運転資金を確保しています(2023年にATMで約580万株を発行し、純額で約810万米ドルを調達、同年末時点で約3,370万米ドルの枠が残存)。また、外部パートナーとの協業や地域別のライセンス戦略を通じて、国内外での展開可能性を維持しつつリスクを限定的に管理する方針です。
技術革新への取り組みは、当面は低コストで高効率な管理と、将来的な再投資を視野に入れた体制維持に重点を置いています。具体的には、知的財産の保護とポストマーケティング対応に注力するとともに、サイバーセキュリティや法令順守体制の強化に投資して事業リスクを低減しています。人材面では従業員インセンティブとして株式報酬を活用しており、2023年の株式報酬費用は総額約293万米ドル(うち研究開発関連約60万米ドル)となっているため、コア人材の維持を通じて将来の開発再開や技術移転に備える姿勢を示しています。