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TrueCar, Inc.TRUE
事業内容
TrueCar, Inc.は、消費者と自動車販売店を結ぶオンラインの自動車購入支援プラットフォームを運営しています。同社は車両の価格目安表示やディーラー紹介を中心に、デジタルでの購買体験を強化するサービス群(TrueCar+やAuto Buying Programなど)を展開しています。
主要な顧客は個人の車購入者と全国の自動車ディーラー、さらに自動車メーカーや提携する企業グループです。収益は主にディーラーからの手数料やサブスクリプション、紹介や成約に応じた課金、OEM向けのインセンティブ収入などで成り立っています。
同社は事業を大きく「ディーラープロダクト」「OEMインセンティブ」「その他」の三領域で報告しており、具体的にはAuto Buying Program、TrueCar TradeやSell Your Carといった買替・買取支援、TrueCar+によるオンラインマーケットプレイス開発を行っています。ディーラー向けには月額の定額型や紹介量・成約に応じた課金など複数の料金モデルを用意し、金融商品やアフィニティ提携については外部パートナーと連携して利用者接点を創出しています。
経営方針
TrueCarの成長戦略は、営業利益の再投資と資本効率の向上に重点を置いています。同社は配当を行わず将来の利益は事業拡大に充てる方針を示しており、自己株式買い戻しによる株主還元も組み合わせています。具体的には取締役会は買戻しプログラムの承認枠を段階的に拡大しており、2024年2月に追加承認を行って残余枠を約1億ドル規模にし、買戻しは2024年10〜11月に合計1,751,092株(平均取得単価約3.62ドル)を実行しました。このように同社は成長投資と株主還元のバランスを取りながら、収益を内製成長に振り向けることを目指しています。
重点投資分野は販売店ネットワークの強化とデジタル小売りサービスの拡充です。同社は「TrueCar Certified Dealers」などディーラー向けのサブスクリプションや車両ごとの課金モデルを通じて収益化を図っており、従来のリード提供型ビジネスに加えて、デジタルで完結する購買体験を差別化ポイントにしています。差別化のために2022年にDigital Motorsを買収(現金1,550万ドル+最大800万ドルの条件付対価)し、取得した技術資産をTrueCar+の市場投入に活用するなど、ディーラーと消費者をつなぐプラットフォーム投資を進めています。
新市場の開拓と事業拡大では、TrueCar+を中核に据えてエンドツーエンドの車売買市場へ進出する計画です。同社は買収や提携を通じた外部成長も並行して検討しており、経営陣の報酬設計にも成長目標を反映させています。たとえば、取締役会は2025年2月に戦略的業績連動型株式ユニット(Strategic PSU)を付与しており、主要幹部に対してTrueCar+の取引数(2027年9月の取引数が基準期間を上回ること)に応じて対象株式が0〜300%で権利確定する仕組みを採用しています(例:CEOに315,790単位など)。これにより経営陣のインセンティブをTrueCar+の利用拡大に直結させています。
技術革新への取り組みは、プラットフォーム開発とデータ・セキュリティの両面で進められています。同社はデータエンジニアリングやプロダクト開発に投資し、買収した技術を短期で商用化することを目指しており、サイバーセキュリティとコンプライアンス体制も社内と取締役会(監査委員会)で定期的にレビューしています。従業員は2024年末時点で約348名を抱え、リモート中心の「ダイナミックワークフォース」方針を採る一方、技術・製品人材の確保と幹部交代による知見の継承が当面の運営課題であることも明確に認識しています。