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Tronox Holdings plcTROX
事業内容
Tronox Holdings plcは世界有数の二酸化チタン(TiO2)顔料の垂直統合メーカーです。同社はオーストラリアや南アフリカの鉱山から原料を採掘し、精錬・加工して塗料やプラスチック、紙など向けの顔料や高純度のチタン化学品、特殊用途の超微粒子TiO2を生産しています。
同社の顧客は世界約120か国に広がる約1,200社で、売上は主にTiO2顔料とジルコンや銑鉄などの副産物販売から成り立っています。主要顧客とは長期取引や価格安定プログラムを結び、供給の確実性と収益の安定化を図っています。
事業は鉱山の採掘から選鉱・精錬、顔料工場での製造までを一貫して行い、米国、オーストラリア、ブラジル、欧州、中国、サウジアラビアなどに製造拠点を展開しています。加えて研究開発や顧客向けの技術サポートを行い、製品品質と納期信頼性を競争力の源泉としています。
経営方針
同社は「低コストのTiO2(酸化チタン)生産者になる」ことを成長の中核目標としています。鉱山から製品まで一貫して手掛ける垂直統合モデルを強化し、自社で供給できる原料比率を高めることで原価競争力を向上させようとしています。具体的には豪州・南アフリカでの鉱山・選鉱・還元(スミルティング)設備を維持・拡充し、世界9か所にある顔料製造拠点(米国、豪州、ブラジル、英国、フランス、オランダ、中国、サウジアラビアなど)を通じて約1,200社の顧客(約120か国)へ供給する体制を強化しています。資本配分面では、2024年に取締役会が2027年2月までに最大3億ドルの自社株買い枠を認めるなど、株主価値向上も重視しています。
重点投資分野は原料確保と生産プロセスの効率化で、同社はチタン砂鉱の採掘・選別・チタン化合物への加工に継続投資することで差別化を図っています。鉱山副産物であるジルコンやピッグアイアン、希土類を商材として販売することで収益を多角化し、原料価格変動リスクを緩和しています。また顧客側では「マージン安定化プログラム」や長期パートナーシップ戦略を進め、価格や供給の予見性を高めることで競合と差別化しています。技術支援や品質管理による顧客密着も重要な差別化要素です。
海外市場や事業領域の拡大は、既存のグローバル販売網と垂直統合の強みを使って進められます。同社は既に世界各地に販売基盤を持つため、新興市場や用途拡大(塗料、プラスチック、紙などの既存用途に加え、高純度チタン化学品や超微粒子TiO2の特殊用途)でのシェア拡大を狙っています。並行して鉱山投資や生産能力維持のための資本プロジェクトを継続し、安定供給を確保することで顧客との長期契約を拡大する計画です。サステナビリティ面では事業全体の温室効果ガス削減ロードマップを策定し、環境規制や顧客のESG要請に対応することで新規受注や市場参入の障壁を下げようとしています。
技術革新については、製造プロセスと管理システム双方への投資が柱です。業務の「見えない工場(hidden factory)」を最適化するためのプロセス改善と、財務・業務系システムを自動化する数年規模のIT変革プログラムを推進しており、2024年第三四半期に一部地域でアップグレードを実施、段階的に全社へ展開する予定です。研究開発拠点では新製品・用途開発や配合最適化を続け、安全面では先行指標に基づくリスク低減プログラムを導入しており、技術と運用面の両輪で競争力を高める取り組みを進めています。