TAPESTRY, INC.TPR

時価総額
$273.3億
PER
ハンドバッグやアクセサリー中心のラグジュアリーファッションの大手。複数ブランドでハンドバッグ・小物、フットウェアを展開。スチュアート・ワイツマン事業を2025年8月4日に1.05億ドルで売却。北米・中国中心に欧州や東南アジアにも展開。

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企業概況
116文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Tapestry, Inc.はCoachやkate spadeなどのブランドを持つ米国のファッション企業で、主にハンドバッグや小型レザーグッズ、フットウェア、ライフスタイル商品を企画・販売しています。同社はデザイン力とブランド力を活かし、高付加価値の商品で顧客を引きつけています。

主要な顧客は一般消費者で、直営店・アウトレット・公式ECなどの直販チャネルと、百貨店や専門店、第三者のデジタルパートナーを通じた卸売チャネルの両方に販売しています。同社は直販比率が高く、2025年度は約86%の売上が直販経由で、店舗とオンラインを組み合わせたオムニチャネルで顧客の獲得・維持を重視しています。

事業はブランド別のセグメントで管理され、主にCoachとkate spadeが中核でしたが、Stuart Weitzman事業は2025年に売却しています。各ブランドはハンドバッグや小物を軸にフットウェアやライフスタイルへ広げる戦略を取り、製造は主にアジアの独立工場に委託して供給体制を維持しています。

経営方針

同社は「futurespeed」と呼ぶ2025年成長戦略を掲げ、ブランドの競争優位を拡大して顧客生涯価値を高めることを目指しています。具体的には顧客の獲得・維持・再活性化を組み合わせて直販チャネル(自社店舗とEC)を中心に成長を図り、直販比率は2025年度に約86%に達しています。長期戦略のアップデートは2025年9月の投資家向け説明会で改めて提示する予定で、株主還元面では2024年11月に始めた優先的な自社株買い(ASR)で20億ドルを設定し、従来の買戻し枠として8億ドルの余地を残すなどキャッシュ配分も明確にしています。

重点投資分野は製品力とブランド体験であり、同社はコアとなるハンドバッグと小型革製品の持続的成長を図る一方、フットウェアやライフスタイル製品の拡大を加速させることを目指しています。マーケティング支出は2025年度で約7億4450万ドル、売上に対して約11%を投じており、店舗網(総店舗数は2025年時点で約1,371店)とデジタルを両輪で強化することで差別化を図っています。品質と供給の面では、ベトナムやカンボジアなどにある長期的な製造パートナーとの関係を重視し、入念な検査や社会的コンプライアンスを通じてブランド価値を守る施策を講じています。

新市場開拓と事業ポートフォリオの最適化にも注力しており、北米と中国を優先市場とすると同時に、東南アジアや欧州といった浸透が進んでいない地域での機会を追求しています。並行して非中核事業の整理も行っており、2025年8月にStuart Weitzman事業を1億500万ドルで売却してキャッシュ化したほか、過去に計画した大型買収(Capri)を終了する際には相手に4510万ドルを支払って契約を解消し、関連する社債を償還するなど、M&Aや資本配分の柔軟性と慎重さを示しています。

技術革新についてはクラウドやデジタル基盤、データ解析・人工知能を活用して顧客体験と業務効率を高めることを目指しています。2025年度の資本支出とクラウド導入費は1億5300万ドルにのぼり、ウェブやアプリを通じた個別化や在庫管理の高度化、配送を含むオムニチャネル体験の向上に投資しています。加えてサイバーセキュリティを長期的リスク管理の優先課題と位置づけ、外部専門家による成熟度評価や継続的な監視体制を整備するなど、技術面の安全性と信頼性向上にも取り組んでいます。