Texas Pacific Land CorpTPL

時価総額
$206.1億
PER
土地・資源管理と鉱業ロイヤルティの最大手。油・ガスロイヤリティと水サービスを展開。Horizon Kineticsが15.6%出資、2024年8月に4,120エーカーを4,500万ドルで買収。米テキサス州ミッドランド盆地中心に展開。

事業内容

Texas Pacific Land Corporationはテキサス州に広大な表面権と鉱権を保有し、土地と地下資源の商業的利用から収益を上げる会社です。同社は土地管理と資源権の運用を中核に、石油・天然ガスのロイヤルティ収入や土地利用に伴う手数料、そして水資源に関するサービスで事業を展開しています。

主要な顧客は油ガスを掘削・生産する事業者や環境処理を行う事業者で、同社はこれらからのロイヤルティやイーゼメント(通行権)料、サービス料で収入の大半を得ています。売上は石油・天然ガス価格に影響を受けやすく、上位数社への売上集中が見られる点が収益構造の特徴です。

事業は大きく土地・資源管理のセグメントと水関連サービスのセグメントに分かれ、土地側ではロイヤルティ、通行権、土地売却などを扱います。水関連では取水や生産水の取り扱い、塩水処分施設への出資や生産水ロイヤルティといったサービスを提供し、これらが同社の成長機会と収益の多様化に寄与しています。

経営方針

同社は安定したフリー・キャッシュ・フロー(FCF)と株主還元の継続的な拡大を成長戦略の中心に据えています。具体的には買収や成長投資の目標リターン(ROIC)を年8%以上とし、実際に2024年はこの目標を上回る成果を出しました。また、株主還元では四半期配当の継続と、取締役会が承認した最大2億5,000万ドルの自社株買いプログラムを機動的に活用する方針をとっています。資産面では約87.3万エーカーの表層権と、2024年の平均生産量約26.8千Boe/日、同年の油・ガスロイヤルティ収入が約3.73億ドルと、規模と収益性の高さを背景に成長を図っています。

重点投資分野は土地・資源管理、用水(produced water)関連サービス、環境処理(SLEM)などの表層ビジネスです。同社は2024年8月にミッドランド盆地で4,120エーカーを4500万ドルで取得し、水貯留池や井戸、配管などの水ソーシング資産と、塩水処理システムに対する25%の非操業ワーキングインタレストおよび追加のロイヤルティを取得しました。これにより同社は当該SWD(塩水処理)システム収入の約32.5%に相当する権益を得ています。差別化要因としては、公開企業として最大級の鉱物ロイヤルティ保有と広大な表層権を組み合わせ、借入金をほとんど持たない財務体質と高い利益率で、近隣の小口所有者とは異なる商業的な取り組みが可能な点が挙げられます。

新市場開拓と事業拡大では、既存の油田周辺での塩水処理(SWD)許認可の獲得と長期契約の締結を積極的に進めています。短期目標として2024年は新たに4件のSWD許可取得と長期契約の成立を掲げ、実際に目標を超過しました。加えて、電力系蓄電池、二酸化炭素回収・貯留、ビットコイン採掘施設といった新分野については、複数年の実証や収益スキーム(ロイヤルティ、手数料、利益分配、賃貸)を前提とした事前協議や試験導入契約を締結しており、短期的には大きな収益影響を見込まない一方で中長期では有意な収入寄与を期待しています。

技術革新への取り組みとしては、運用効率とリスク管理の両面で投資を行っています。サイバーセキュリティはNISTフレームワークに準拠した体制を整え、定期的な脆弱性診断、侵入テスト、暗号化、アイデンティティ管理、復旧訓練を実施しています。また現場面では給水設備の電化を進め、2021年比でスコープ1排出量を約8%削減する成果を出しました。報酬面でも長期業績連動型株式(PSUやRSU)を多く採用し、経営陣の報酬をAdjusted EBITDAやフリーキャッシュフローと連動させることで、技術投資や環境対策を含む中長期的な価値創出に経営判断を向けさせる仕組みを整えています。