Travel & Leisure Co.TNL

時価総額
$42億
PER
バケーションオーナーシップと会員制旅行事業の大手。VOI販売と会員交換サービスを展開。2021年にブランド買収を1億ドルで実施、2024年に休暇所有事業を5,000万ドルで買収。米国中心に北米とアジア太平洋で展開。

事業内容

Travel & Leisure Co.は分譲型のバケーション(いわゆるタイムシェア)販売を中核に、会員制の旅行サービスやリゾート管理、旅行ブランドの運営を手がける企業です。同社はオーナー向けの長期利用権の販売に加えて、会員交換ネットワークや宿泊予約技術、消費者向けの融資サービスなど複数の旅行関連サービスを展開しています。

主要な顧客はバケーション所有者やその家族、旅行者、会員制サービスの加入者および提携するホテルや旅行事業者です。同社の収益は主に分譲バケーションの販売が中心で、これに消費者融資の利息・手数料、リゾート管理や運営費、会員からの手数料収入が続きます。

事業は大きく分譲バケーション事業とトラベル&メンバーシップ事業、消費者金融を含むセグメントに分かれています。分譲事業はリゾートでの案内ツアーやアップグレード販売、在庫調達を通じた販売に注力し、トラベル&メンバーシップ事業は会員向けの交換サービスや予約プラットフォーム、ブランドライセンスや会員プログラムの運営を担っています。

経営方針

Travel & Leisure Co.(同社)は、タイムシェア(バケーションオーナーシップ、VOI)と旅行会員サービスの双方を柱に成長を図っています。近年はレジャー需要の回復を受けてツアー数やGross VOI売上が回復し、1人当たりの販売額(VPG)もパンデミック前を上回る水準で推移しています。同社は新規オーナーの比率を高めて将来のアップグレード需要を育てる戦略を掲げており、資本配分では株主還元にも注力しているため、買い戻し枠は現在70億ドル、2024年末時点で残り約4.41億ドルの余裕があり、2024年は520万株(約2.35億ドル)を買い戻しました。また配当は2024年通期で1株当たり0.50ドルを支払っており、長期的には利益成長に合わせて配当も増やすことを目標としています。

重点投資分野は、顧客獲得と収益性向上に直結するチャネルと商品群です。同社はホテル系ロイヤリティ(Wyndham Rewardsの会員約1.14億人)やリゾートでの現地セールス、提携マーケティングを強化しており、在庫調達は自己開発やジャストインタイム、デフォルト回収など多様な手法で資本効率を高めています。消費者向け融資を自社のWyndham Consumer Financeで行うことで販売の裾野を広げ、さらに人材確保・インセンティブとして2024年にRSUで約3,400万ドル、PSUで約1,000万ドルの株式報酬を付与するなど、営業・販売力の強化に資金を投じています。こうした仕組みで他社との差別化を図り、リピーターやアップグレードを通じたライフタイムバリューの向上を追求しています。

海外や新分野の開拓も積極的に進めています。2024年にはアジア太平洋地域での事業拡大を目的にAccor Vacation Clubを約5,000万ドルで取得し、これによりブランド提携や地域ポートフォリオが強化されました。過去の買収では旅行テクノロジーのARN(約1.02億ドル)や、ユーススポーツ向けのPlaybook365(約1,300万ドル)などを取り込み、旅行会員サービスやイベント宿泊管理といった新たな収益機会を確保しています。さらにWyndhamの会員基盤を活用したコール転送やオンライン・インホテルでのプロモーション、オンラインレンタルなど具体的なチャネル施策で新規販売と既存会員からの追加購入を狙っています。

技術革新とリスク管理の両面にも注力しており、旅行予約や会員管理のプラットフォーム強化、テレセールスやバーチャル販売の導入で販売効率を高めています。テクノロジー関連の買収や統合(ARNやPlaybook365の統合事例)により、商品提供のデジタル化と運用効率化を進める一方で、サイバーセキュリティは取締役会の監督下で企業リスク管理(ERM)に組み込み、NISTを基盤とした体制で情報の機密性・可用性を維持する取り組みを行っています。これらの技術投資は販売チャネルの拡大、会員体験の向上、そして運営コスト削減を同時に狙う実務的な施策として位置付けられています。