THERMO FISHER SCIENTIFIC INC.TMO

時価総額
$2162.7億
PER
ライフサイエンス・分析機器・診断向け製品を手掛ける科学機器メーカーの最大手。質量分析やプロテオミクスプラットフォーム、単回使用型バイオプロセス製品を展開。2024年7月にスウェーデンのプロテオミクス企業を約32億ドルで買収。米国・欧州・アジアで展開。

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企業概況
124文字)
業績概況
テーマ
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

THERMO FISHER SCIENTIFIC INC. は、研究や臨床、製薬・バイオ産業、環境や工業分野向けに試薬や計測機器、診断製品、受託サービスなどを一体で提供するグローバルな科学サービス企業です。同社は装置や消耗品の販売に加え、保守・解析・受託研究や商業生産といったサービスを組み合わせたワンストップ型のソリューションを展開しています。

主要な顧客には製薬・バイオテック企業、病院・臨床検査室、大学や研究機関、政府機関、産業メーカーなどがあり幅広い市場をカバーしています。収益は高額な装置の販売だけでなく、消耗品・試薬の定期的な購入やサービス契約、受託業務による継続的な売上が大きな比重を占める構造になっています。

事業は大きく四つのセグメントで構成され、生命科学ソリューションは研究用試薬やゲノム・プロテオミクス関連の製品群、バイオプロダクションはワクチンやバイオ医薬の製造支援に必要な消耗品や工程解析を担当します。分析計測機器はラボや現場向けの分析装置と消耗品を扱い、スペシャルティ診断は血液がんや感染症などの診断試薬と検査装置、ラボ用品・バイオファーマサービスは一般実験用品から臨床試験・商業製造の受託サービスまでを含んでいます。

経営方針

同社は持続的な成長を目指しており、その基本方針は「高インパクトな研究開発」「顧客との信頼関係の深化」「強力な営業力の活用」の三本柱に集約されています。直近の連結売上高は約428億ドル(2024年)で、オーガニック成長は横ばい(0%)でしたが、2024年には約3億ドルのリストラクチャリング費用を計上し、年率で約2億ドル程度のコスト削減を見込んでいます。株主還元も重視しており、取締役会は最大40億ドルの自社株買い枠を承認し、2025年初頭にそのうち約20億ドルを既に取得しています。

同社は重点投資分野を明確にしており、蛋白質解析(プロテオミクス)や遺伝子関連の解析機器、バイオ医薬品の生産支援(バイオプロダクション)、診断用試薬・機器の拡充に集中しています。差別化の源泉は「装置と消耗品、試薬、ソフトウェア、受託サービスを組み合わせたワンストップの提供」で、顧客が研究から製造、診断まで一貫して利用できることを強みにしています。近年の買収による資産も大きく、のれんは約458.5億ドル、償却対象の無形資産も約143億ドルを計上しており、M&Aによるラインナップ強化が差別化策の重要な一部となっています。

新市場の開拓と事業拡大では、地理的なプレゼンス強化と商業基盤の整備を重視しています。アジア太平洋市場、特に中国での売上はやや伸長している一方で欧州は横ばい、北米はコロナ関連需要の落ち着きで若干減少しました。同社はオーリンク(2024年に現金で約3.215億ドルで買収)やBinding Site、CorEvitas、PPDといった買収を通じてプロダクトポートフォリオや臨床サービスを拡充し、営業・マーケティングの統合やeコマース拡張、クロスセルのための商業ツール整備で新しい用途・市場を開拓しようとしています。ただし買収統合や市場環境の変化が計画通りに進まないリスクも開示しています。

技術革新への取り組みとして、同社は研究開発資金を成長見込みの高い製品に配分し、質の高い新製品やアプリケーション開発を加速させています。具体的には蛋白質解析と質量分析装置の連携、単回使用の生産資材や製造工程の分析ツールの開発、診断分野での新規アッセイ導入などを進めており、社内の業務改善手法(Practical Process Improvement)で生産性向上にも取り組んでいます。同社はこれらの技術投資を通じて、研究開発のスピードアップや顧客の生産性向上を支援することを目指しています。