Taylor Morrison Home CorpTMHC

時価総額
$58.1億
PER
住宅建設・土地開発の米国大手。分譲住宅とBuild-to-Rent『Yardly』、モーゲージ・保険・タイトル等の金融サービスを展開。2024年売上$7.8B、12,896戸の引渡し実績。2024年4月29日に約1,700区画の資産を取得。米国全域で展開。

事業内容

Taylor Morrison Home Corpは、米国で土地の取得・開発から設計・建設・販売までを一貫して手がける大手住宅ビルダーです。同社は一戸建てや集合住宅の分譲、モデルホームや即入居可能な物件の販売を主力事業とし、コミュニティ単位での開発にも注力しています。

主要な顧客層は初めての住宅購入者、買い替え層、リゾート志向の買い手、さらに賃貸需要を満たす入居者まで幅広く、住宅販売が収益の大部分を占めています。同社は住宅販売に加え、自社の住宅ローンや決済・登記サービス、住宅保険、そして賃貸向けの建築・運営事業からも手数料や利ざやで収入を得ています。

事業は地域別のホームビルディング(東部・中部・西部)と金融サービスやその他支援部門に分かれて運営しています。同社は複数のブランドで入門価格帯から高付加価値商品まで製品ラインを揃え、顧客管理システムやオンライン予約・自動化ツールを活用して販売効率と顧客体験の向上を図っています。

経営方針

同社は成長を収益と資本効率の両面で押し進めることを目指しています。2024年はホームクローズ売上が約78億ドル、ホームクローズ粗利率が24.4%、年間のホームクローズ数は12,896件となり、平均販売価格は約60万1千ドルでした。新規受注は前年から13.1%増の12,248件と伸びており、手元流動性は約14.3億ドル(現金約4.9億ドル+与信枠)を確保しています。また株主還元では取締役会が2026年末までに最大10億ドルの自社株買い枠を承認し、2024年は5.6百万株を約3.48億ドルで取得するなど、資本配分による株主価値向上を重視しています。

同社は製品・サービスの差別化に重点投資を行っています。複数ブランド(Taylor Morrison、Darling、Esplanade)と賃貸向けのYardlyを使い分けることで幅広い顧客層をカバーし、住宅ローン、タイトル、保険といった金融・付帯サービスを自社グループ(TMHF、Inspired Title、TMIS)で提供して販売競争力を高めています。土地取得・開発面ではリスクと資金効率を両立するためにランドバンキング契約を活用しており、2024年末時点で購入権のあるロットは6,895区画、購入総額は約12億ドル、敷金などのデポジットに対する最大露出は約1.55億ドルです。こうした縦横の連携により、商品企画と価格設定を市場ごとに最適化することを狙っています。

新市場開拓と事業拡大は買収と有利子資本の活用で進められています。例として2024年4月にインディアナ州のPyatt Buildersの資産を取得し、約1,700区画分の在庫・コントロールロットを取り込みました。加えて共同事業やプロジェクト別の不動産ファイナンスを通じて資本効率を高める方針で、Build‑to‑Rent(Yardly)のスケール拡大を継続することで賃貸需要にも対応しています。流動性面では1億ドル規模の短期枠を含むリボルビング・クレジットや社債等を運用し、必要に応じて資本市場での調達も選択肢にしています。

同社は技術面と情報セキュリティへの投資にも注力しています。顧客接点では2024年12月にホームページを全面改修し、AIを活用したチャットボット、オンラインでの予約・見学、自動化されたCRM連携によるリード管理で販売効率を高めています。バックオフィスでは業界向けの統合基幹システムと標準化を進め、情報技術は「フォロー・ザ・サン」体制で運用しています。サイバーセキュリティでは四半期ごとのリスク評価、脆弱性スキャンや侵入テスト、第三者による半期評価、ベンダーのセキュリティ監視を実施しており、データ保護や州ごとのプライバシー規制(例:カリフォルニアの規制強化)への対応コストも織り込んでいます。