Tilray Brands, Inc.TLRY

時価総額
$105.7億
PER
大麻・飲料・ウェルネス製品のグローバル最大手。医療用・嗜好用大麻、クラフトビール、ヘンプ食品を展開。2024年9月にCraft Acquisition IIを買収、2020年11月にSweetWaterを買収。カナダ、米国、欧州、豪州、ラ米で展開。

事業内容

Tilray Brands, Inc.は、医療用・嗜好用の大麻製品をはじめ、クラフトビールなどの飲料、ヘンプ由来の食品やウェルネス商品を世界各地で製造・販売するグローバルなライフスタイル消費財企業です。主力はカナダでの成人用・医療用大麻の販売と、米国を中心とした飲料・ヘルスフーズ事業です。

同社の主要顧客は一般消費者(嗜好品・ウェルネス食品の購入者)と医療患者、さらに小売店や薬局、卸・配送業者などの法人顧客です。収益は大麻製品、飲料(クラフトビール等)、ヘンプ食品・ウェルネスの各セグメントからの製品販売と、国際的な医療用大麻の供給や医薬品流通サービスの売上で構成されています。

事業は大きく、(1)大麻事業:花、プレロール、ヴェイプ、トピカル、エディブルや飲料等の製品ライン、(2)飲料事業:SweetWaterなどのクラフトビールブランドを中心としたビール・酒類、(3)ウェルネス事業:Manitoba Harvestなどのヘンプ食品やノンシュガーのエナジー飲料、(4)流通・医薬品事業:ドイツの医薬品輸入・流通などに分かれています。同社はブランド強化と効率化を進め、各分野での市場シェア拡大を目指しています。

経営方針

同社はブランドとインフラを活用して売上成長と業界トップレベルの収益性を実現し、長期的に株主価値を高めることを目指しています。直近の連結売上高は2025年度で約8.21億ドルとなっており、買収したクラフト系飲料ブランドの再建を通じて中期的に売上の回復・拡大を図る戦略です。具体的には「Project 420」を中心にコスト構造の見直しを進め、当初の2500万ドルのシナジー計画を増額して3,300万ドルを目標に設定、現時点で2,410万ドルの削減を達成しており、シナジー最適化は2026会計年度第3四半期の完了を見込んでいます。

同社は重点的に飲料、カンナビス、ヘンプ系食品といった消費者向けライフスタイル分野に投資して差別化を図っています。買収ブランドのマーケティングや流通基盤への追加投資を行い、投資資金はProject 420によるコスト削減で賄う意向です。商品ポートフォリオの効率化では売上が一時的に約2,000万ドル減少し調整後EBITDAが約600万ドル落ち込んだものの、成長性の低いSKUを削減して「1投入・1撤退」の原則で高成長SKUへの資源配分を強化し、販促費用や在庫回転の改善で利益率を高める方針です。

新市場開拓と事業拡大では、過去数年でSweetWaterや複数のクラフトブルワリー、さらに2023年・2024年のCraft買収など複数のM&Aを行い、米国内の市場浸透と「Regional Jewel」戦略による地元市場重視を進めています。流通面では買収の結果750超あったディストリビューターと975拠点を見直し、450~500社に集約して現地販売力を集中させる計画であり、これにより物流の簡素化と棚割拡大を狙っています。また新商品開発では飲料の新カテゴリやブランド延長で近時の売上減をカバーする計画です。

技術革新の取り組みとしてはデータ分析と消費者インサイトの強化によりカテゴリー運営力を高め、新たなフォーマット(飲料やエディブル、ベイプ等)の研究開発に投資しています。製造面では生産拠点の統合や在庫削減によるキャッシュコンバージョンサイクルの改善を目指し、国際展開では品質基準(EU‑GMP等)への準拠を重視しています。原材料コストや関税リスク(アルミ、ホップ、大麦、ベイプ部材など)については代替調達や価格転嫁を含めた緩和策を講じる方針です。