TEEKAY CORP LTDTK

時価総額
PER
原油・精製品タンカーの大手。米国メキシコ湾とカリブ海でのフルサービスライトリングやスポット市場中心の船舶運航を展開。2022年1月にガス船事業をStonepeak系へ売却、2023年1月15日に転換社債償還で無借金化。オーストラリアで政府向け運航・保守サービス展開。

事業内容

Teekay Corporation Ltdは、主に原油タンカーや精製品タンカーの保有・運航を通じて海運事業を展開しています。主力は同社が支配株式を持つTeekay Tankersを通じたタンカー運航で、スポット市場や一定期間のチャーター契約を中心に船舶を稼働させています。

主要な顧客は石油会社や燃料トレーダー、政府機関やエネルギー企業で、チャーター料や船対船(STS)による軽荷揚げサービス料、オーストラリアでの運航・保守契約などで収益を得ています。スポット取引は収益変動が大きい一方で、ライタリングや海洋サービスは比較的安定したキャッシュフローに貢献しています。

事業は大きく「タンカー部門」と「海洋サービス部門」に分かれており、タンカー部門では原油・中間製品・バンカータンカーの運航と船対船移送や支援業務を行っています。海洋サービス部門ではオーストラリア向けの運航・保守や管理業務を提供し、ガス部門(Seapeak)やFPSO資産の売却後は負債を返済し流動性を高めることに注力しています(2023年に無借金化、2024年末の現金等は約1.83億ドル)。

経営方針

同社は資本効率の向上と一株当たりの本源的価値(intrinsic value)の拡大を成長戦略の中心に据えています。具体的には、2022年にガス事業を売却して事業を整理した後、親会社(Teekay Parent)は2023年1月に借入を全額返済し、2024年12月末時点で現金・短期資産約1億8300万米ドルを保有するなど財務基盤を強化しています。株主還元策としては公開買い付けの枠組みを継続しており、2025年3月1日時点で残余の自己株式取得枠が約2860万米ドルある点を投資家は注視すべきです。

重点投資分野はタンカー事業と海洋サービス事業で、特にティーケイ・タンカーズ(Teekay Tankers)を通じたスポット市場でのトレーディングと米墨湾(U.S. Gulf)でのフルサービス・ライタリング(船対船の積替え)を差別化の柱としています。同社はカリブ海から米墨湾へのスポット取引戦略とライタリング事業を組み合わせることで、配船の柔軟性向上、稼働率アップ、平均収入の押し上げを図ることを目指しています。さらに、船対船支援事業(STS)は景気循環の影響を緩和する安定的なキャッシュフロー源として位置付けられています。

新市場開拓や事業拡大の計画として、ライタリングの拡大とカリブ〜米墨湾ルートでのスポット取引最適化に注力しています。加えて、オーストラリアでの海洋運航・保守サービスは既存の顧客基盤(政府やエネルギー企業)を活かした成長領域であり、必要な設備改修やドライドッキング(2024年は13隻、2025年は現時点で11隻予定)を計画的に実行して安定運航を維持する方針です。資本政策面では自己株式取得のほか、必要に応じて船隊更新や投資を賄う資金調達策を検討するとしており、短中期の流動性は少なくとも1年分の運転資金を満たす見通しと報告しています。

技術革新とリスク管理にも取り組んでおり、サイバーセキュリティプログラムを全社のリスク管理枠組みに組み込み、米国の標準であるNISTのフレームワークを活用した実務的な評価を行っています。また、環境規制対応の一環としてバラスト水処理装置などの設備導入や乗組員の訓練強化に資源を割り当てており、将来のデュアル燃料船(燃料を切替え可能な船)への対応も見据えた人材育成を進めています。さらに、スポット市場の変動に対してはフォワード・フレイト・アグリーメント(運賃の先物的取引)を必要に応じて活用し、収益の安定化を図る取り組みを行っています。