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TJX COMPANIES INCTJX
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事業内容
TJX COMPANIES INC.は、衣料品や家庭用品を中心に割安なブランド商品を販売するオフプライス小売を展開する企業です。同社は日々入れ替わる品ぞろえで「宝探し」のような購買体験を作り、主に実店舗を軸にして直近シーズン中心の機会的な仕入れにより低在庫で商品を回しています。
主要な顧客は価格とブランドの両方を重視する一般消費者で、頻繁に店舗を訪れて掘り出し物を探す傾向があります。同社の収益は店舗での物販が中心で、オンライン売上も伸ばしているものの大半は店舗販売に依存し、仕入れの機動力と低価格での販売差益で利益を確保する構造です。
事業は地域・業態ごとの複数ブランドで構成され、米国の代表的な旗艦店舗群に加えカナダ、欧州、オーストラリア向けの事業を運営しています。同社は衣料だけでなく家庭用品や季節商品、一定比率の自社ブランドも扱い、中央での価格・在庫管理と物流センターを活用して店舗ごとに最適な配分を行い高い在庫回転を実現しています。
経営方針
同社は、安定した株主還元と慎重な成長の両立を成長戦略の柱としています。直近では、2024会計年度と2025会計年度にそれぞれ約25億米ドルを自己株式の買い戻しに充て、2025年2月にはさらに25億米ドルの新たな買い戻し枠を承認しました。配当も引き上げ基調にあり、2025会計年度の年間配当は1株当たり1.50ドル、2026会計年度は1株当たり1.70ドル(前年から約13%増)を見込んでいます。こうした資本配分方針により、同社は既存事業の拡大と株主価値の向上を同時に追求しています。
同社は、割安販売(オフプライス)の事業モデルを差別化の中心に据え、機会的な仕入れと低在庫運営で競争優位を築いています。具体的には、年間を通じて市場での掘り出し物を買い付ける「オポチュニスティック・バイイング」を重視し、21,000を超えるサプライヤー網を活用して少量から大口まで柔軟に仕入れます。また、店舗ごとの品ぞろえを最適化するための専用の在庫計画や値付け・マークダウンのコンピュータシステム、配送センターの処理体制に投資し、「宝探し」的な購買体験と高い回転率を実現しています。パックアウェイ(将来販売を見越した一時保管)購入は商品構成のごく一部に限定するなど、全体で低在庫を維持しています。
同社は、既存市場での出店と国際展開を両輪に事業拡大を図っています。現在、米国に加えカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアで大規模に展開しており、メキシコの合弁事業や中東への少数出資といった新たな投資事例もあります。新市場への進出は慎重に行っており、適切な不動産の確保や現地規制対応、人材育成が整わなければ出店ペースを修正することもあります。成長は自社開発、出資、買収のいずれの手段でも検討しており、不採算事業の整理実績があることから、採算性に応じた出店・撤退の柔軟な判断を目指しています。
同社は、業務効率化とリスク管理のために技術革新へ継続投資しています。在庫・価格決定・出荷を司る専用システムや流通拠点の自動化に資本を投入するとともに、為替変動リスクに対しては通貨先物やスワップ等のヘッジを実行しており、仮に翻訳通貨が10%変動した場合の税引き前影響は約1億1,200万ドルと試算しています。内部統制や情報システムの強化、データセキュリティ対策にも注力しており、これらを通じて低在庫モデルを維持しながら、店舗とネット販売(eコマース)双方での顧客体験向上を目指しています。