TENET HEALTHCARE CORPTHC

時価総額
$177.2億
PER
病院運営と外来ケア事業の大手。手術センター(ASC)、UCC、医師診療所、収益サイクル管理を展開。2024年にASC52施設とリハビリ病院を合計5.71億ドルで買収。従業員約98,000人、全米50州とワシントンDC、フィリピン。

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企業概況
130文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

TENET HEALTHCARE CORPは、米国で病院や外来診療施設を広く運営する大手の医療サービス企業です。入院を伴う急性期や専門病院のほか、外来での手術や検査、救急対応や回復期医療など幅広い医療サービスを提供しています。

顧客は個人の患者のほか、民間保険会社やメディケア・メディケイドなどの公的支払い者が中心です。同社の収入は入院・手術・外来診療に対する診療報酬や保険からの支払いが核となり、保険契約や公的制度の報酬改定が業績に大きく影響します。そのため契約交渉や診療提供の効率化に力を入れています。

事業は大きく病院運営と外来中心の事業に分かれており、病院運営部門では急性期や専門病院、救急対応を担い、外来部門では外来手術センターや緊急診療所、外来医療ネットワークの運営や医師との共同事業に注力しています。同社は合弁や買収で外来網を拡大し、より低コストで回転の良い外来サービスを成長の柱に育てる戦略を進めています。

経営方針

同社は外来診療(外来手術センターや緊急外来など)の拡大と既存病院の収益性改善を成長の柱としています。具体的には、2024年に外来手術センター52件とエルパソの回復期病院を含む買収に約5.71億ドルを投じ、同年末時点で急性期・専門病院49箇所、外来施設135箇所を運営しています。資本政策では2024年7月に最大15億ドルの自社株買い枠を設定しており、株主還元と一方でバランスシートの最適化を図りながら、調整後EBITDAなどの収益性指標の改善を目指しています。

投資の重点は外来分野と医師連携の強化で、United Surgical Partners International(USPI)を通じた医師との共同出資・運営モデルで差別化しています。同社は医師とのジョイントベンチャーや管理契約により、医師の生産性向上と患者利便性の改善を図る一方、設備更新・臨床品質向上への投資やサプライチェーン改善でコスト競争力を高めています。また、バックオフィスや収益管理を集約するグローバル・ビジネス・センター(GBC)を活用し、約4,000人のGBC要員を含む約98,000人の従業員体制で運用効率化を進めています。

新市場開拓では、地域に根ざした緊急外来ネットワークやテレヘルスの取り込みを進めています。たとえばアリゾナ州のNextCare JV Iに対して2023年に約7,500万ドルを投じて41の緊急外来とテレヘルスセンターの支配持分を取得するなど、既存ネットワークの地理的拡大と外来領域の集中的な買収を継続しています。一方で、2024年に一部病院を14施設売却するなどポートフォリオの最適化も同時に行い、限られた資本を高成長・高収益の外来事業に再配分することを狙いとしています。

技術革新については、収益サイクル管理システムや電子カルテ、テレヘルスなどのデジタル投資を通じて回復までの時間短縮や請求回収の効率化を図っています。サイバーセキュリティやデータ分析人材への投資を強化し、エビデンスに基づく臨床プロトコルや価値基準(バリューベース)のプログラム参加により入院日数短縮・再入院率低下を目指しています。これらにより、品質向上とコスト削減の両面で競争優位を築くことを同社は目指しています。