TARGET CORPTGT

時価総額
$380.2億
PER
総合小売業の米国大手。自社・専有ブランドが売上の約3分の1を占め、デジタル市場と広告事業を展開。2021年8月に150億ドルの自社株買い枠設定、2024年3月に会員制度統合と有料オプション導入。米国中心、調達拠点は12カ国、配送は物流センター経由。

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企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
3項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Target Corporationは米国を中心に大型の総合小売店とオンライン販売を運営する企業です。日用品、衣料品、家庭用品、食品など幅広い商品を店舗とウェブで販売し、店内のカフェや光学サービスなどの付帯サービスも展開しています。同社は店舗網とデジタルチャネルを組み合わせた「ワンストップ」型の買物体験を提供しています。

同社の主要な顧客は一般消費者(ゲスト)で、売上の大半は商品販売から生まれます。約3分の1は自社・独占ブランドの販売で占められ、これらは一般ブランドより高い利益率を生む一方で、在庫・調達管理の難易度も高めます。加えて、広告事業(Roundel)、クレジットカードの収益分配、サードパーティーのマーケットプレイス、会費、CVSとの賃料収入など多様な収益源も持っています。

事業の中身は、複数の主要商品カテゴリを軸とするマーチャンダイジングと、流通・デジタル配送を担うサプライチェーン機能に分かれています。自社ブランドの多くは海外の調達拠点(12か国)を通じて仕入れ、全国の配送センターや外部運送業者で店舗・顧客に届けています。同社は品揃え、価格、利便性、ロイヤルティ施策で差別化を図りつつ、供給網や消費者嗜好の変化が業績に影響する点を注視しています。

経営方針

同社は売上と利益の持続的成長および株主還元の拡大を目指しています。2024年度の純利益は約40.9億ドル、粗利益率は28.2%と前年の27.5%から改善しており、キャッシュ創出力も高く営業活動によるキャッシュは約73.7億ドルでした。株主還元では、取締役会が承認した150億ドルの自社株買い枠があり、これまでに約31.0百万株・63億ドルを消化、2025年2月時点で約86.7億ドル分の買い戻し余力を残しています。また配当は2024年に1株当たり4.46ドルを支払っています。

同社は差別化の核として自社ブランド、店舗体験、会員・ポイント施策への投資を重視しています。自社および独占ブランドが全品目の約3分の1を占め、高い利幅を確保している点を強みにしています。顧客ロイヤルティではTarget Circleカードの浸透が進められ、2024年のTarget Circleカードによる購入割合は17.8%で、会員向けの即時割引やリワード、2024年に導入した有料会員「Target Circle 360」で同日配送や最速配送の提供を進めています。こうした取り組みと店内の提携サービス(CVSによる薬局、スターバックス等)で「価格・品揃え・利便性」を組み合わせた差別化を図っています。

新市場の開拓と事業拡大はオムニチャネルとパートナーシップを軸にしています。店舗網は2025年2月時点で1,978店に達し、2024年度は23店を新規出店しましたが、成長の主軸はデジタルチャネル拡大とマーケットプレイスの強化です。サードパーティー型のマーケットプレイス「Target Plus」や広告事業「Roundel」を通じて新たな収益源を作り、独占デザインや有名ブランドとの共同展開(Apple、Disney、Ulta等)で顧客接点を増やしています。設備投資は店舗と物流の両面に向けられており、2024年度の有形固定資産への投資は約28.9億ドルでした。資金面では短期の流動性確保のために、2024年に新たに1.0億ドルの364日コミット付き借入枠を設定するなど、成長投資の財務基盤を整えています。

技術革新への取り組みでは、配送と在庫の迅速化、顧客データの活用、プラットフォーム化による付加価値創出に注力しています。新たなサプライチェーン施設やデジタル受注・配送インフラの整備で即時配送の能力を高め、デジタル売上増加に対応することでフルフィルメントの差別化を進めています。また、広告プラットフォームやマーケットプレイスを通じてデータ連携を強化し、会員サービスのパーソナライズ化を図っています。一方で生成型AIなど新技術の導入は効率化と同時に倫理や精度に関するリスク管理も必要と認識しており、技術導入は慎重に進めています。