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TREDEGAR CORPTG
事業内容
TREDEGAR CORPは、主にアルミ押出材の製造とポリエチレン・ポリプロピレン系のフィルム製造を中核とする工業メーカーです。同社は建築、自動車、電気・再生可能エネルギーなど幅広い用途向けにカスタムの押出材や表面保護フィルム、梱包用オーバーラップフィルムを供給しています。
同社の収益は大きく二つの事業から成り立ちます。アルミ押出材部門は顧客数が多く分散しており単一顧客の依存度は低い一方で、フィルム部門は少数の大口顧客への販売比率が高く、部門ごとに収益構造が異なります。
事業セグメント別には、アルミ押出材が未仕上げの素材から加工・陽極処理・塗装・熱処理を施した製品まで幅広く製造し、床用見切り材や構造用フレームといった自社ブランド製品も持っています。フィルム部門は主に電子機器やディスプレイ向けの表面保護フィルムと自動車向けなどの用途を想定した特殊フィルムを、米国や中国の拠点で生産しています。
経営方針
同社はまず収益基盤の立て直しと財務体質の強化を成長戦略の中心に据えています。2024年の連結売上高は約5.98億ドル($598百万)、営業ベースのEBITDAは約2,988万ドルと、再成長への回復余地がある一方で、2024年通期の純損失は約6,456万ドルでした。経営は非中核事業であるフレキシブル包装事業(Terphane)を2024年11月に売却し、取引に伴う現金は債務削減に充当してABL(与信枠)を180百万ドルから最終的に125百万ドルへと縮小し、2024年末の借入余地は約43.8百万ドル(コミットメントの約35%)といった形で資本効率と流動性の改善を目指しています。
重点投資分野はアルミ押出事業とプラスチック薄膜事業(PE Films)に絞られており、それぞれで差別化を図っています。アルミ事業では生産効率改善と製品の付加価値化に注力し、2024年の設備投資は約1,010万ドルにとどめつつも、生産管理と基幹業務の統合(ERPおよび製造実行システムへの投資でこれまで約2,100万ドルを投じる)による長期的なコスト削減と納期短縮を狙っています。PE Filmsは表面保護用フィルムなど高付加価値製品が中心で、特許32件や複数のブランド製品群で技術優位を築いており、同社は高機能品でのマージン確保を目指しています。
新市場開拓と事業ポートフォリオの最適化も明確な方針です。フレキシブル包装の売却は、収益源を集中させる一方で負債圧縮に直結する施策であり、PE Filmsは米州・アジアを主要市場としている中で自動車や高付加価値電子部品向けの拡大を図っています。同社は取引先回収や在庫管理にも注力しており、売上債権回収日数はアルミ事業で約44.7日、PE Filmsで約24.9日へ改善傾向を示しているため、運転資本の効率化を通じて成長投資余力を高めることを目指しています。
技術革新については製品と生産の両面で継続投資を行っています。PE Filmsは既存の32件の特許を基にForceFieldやUltraMaskなど高機能フィルムの研究開発を続け、競争優位を維持することを目指しています。一方で、アルミ事業のERP/MES導入は導入コストと期間が想定よりかさんでいるものの(これまで約2,100万ドルの支出)、完成後は工程管理の最適化や歩留まり改善を通じて原価低減と納期短縮につなげる計画です。研究開発費の削減(リッチモンド技術センター閉鎖で約200万ドルの費用減)と並行して、重点領域に資源を集中させることで技術面での差別化と収益性向上を両立することを目指しています。