TELEFLEX INCTFX

時価総額
$48.7億
PER
医療機器メーカーの大手。UroLiftなどの尿路治療製品、血管介入・血管アクセス製品を展開。2017年にNeoTractとVascular Solutionsを買収、2025年2月にBIOTRONIKのVI事業を初期対価€760百万で買収合意。米国・欧州・アジアで展開。

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企業概況
116文字)
業績概況
テーマ
ブランド
3項目)
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

Teleflex Inc.は医療機器を開発・製造する企業で、侵襲の少ない手技で使うインターベンショナル機器や尿管理製品、麻酔や呼吸ケア、病院向けの血管アクセス機器などを主力製品としています。同社は臨床での使いやすさと患者安全を重視した使い捨てや補助具中心のポートフォリオを展開しています。

同社の主要顧客は病院や医療提供者、医療機器メーカー(他社ブランド向けの製造=OEM)、および在宅ケア市場で、販売は自社の営業部隊と代理店・流通網を通じて行っています。収益は地域的に偏りがあり北米が最も大きく、欧州やアジアにも広く販売しているため世界的な事業基盤を持っています。

同社は事業を地域別の3セグメント(アメリカ、欧州・中東・アフリカ=EMEA、アジア)で管理し、各地域が血管アクセス、麻酔、外科、インターベンショナル、インターベンショナル泌尿器や一般泌尿器などの製品を提供しています。近年はUroLiftを含む買収や呼吸関連製品の一部譲渡、BIOTRONIKの血管インターベンション事業の取得計画、そして泌尿器やアキュートケア、OEMを組み合わせた新会社設立方針などで製品ラインと事業構造の強化・再編を進めています。

経営方針

同社は成長と収益性の両立を目指しています。2024年の連結売上高は約30.47億ドルで、地域別では米国が約18.89億ドル、欧州が約7.05億ドル、アジア太平洋が約3.26億ドルでした。短期的な資金面では、同社は営業キャッシュフロー、手元現金(2024年12月末で現金・現金同等物は約2.90億ドル、制限付き資金を含めると約3.28億ドル)とリボルビング信用枠を組み合わせて今後12か月の運営資金を確保できるとしています。並行して、2024年と2023年に実施したリストラクチャリングおよび工場配置見直しで、2024年計画では年間のプレ・タックス節約額を合計で最大約26百万ドル(フットプリント再編で年12〜14百万ドル、リストラクチャーで年9〜11百万ドル)を狙っており、収益性改善を図っています。

同社は重点投資分野として製品開発と戦略的買収、並びに販売体制の強化を挙げています。研究開発費は2024年に約1.62億ドル(売上比5.3%)で、新製品投資や買収後プロジェクトの費用増加が反映されています。差別化戦略としては、疾患領域に特化したミニマル侵襲治療(例:UroLift)、ハイドロゲル製品(Palette買収によりBarrigel等を取得)やOEM事業を通じた顧客向け共同開発能力を強みに、臨床上の優位性と幅広い製品ポートフォリオで病院や医療機器メーカーに訴求しています。一方で、ERP導入やPalette・Standard Bariatricsの買収関連費用により販売管理費が増加しており(2024年のSG&Aは約9.95億ドル、売上比32.7%)、投資とコスト管理の両立が課題です。

新市場開拓と事業拡大では二つの大きな動きが示されています。同社は2025年2月に、泌尿器(インターベンショナル・ユロロジー等)、急性期ケア(呼吸・麻酔関連の一部)およびOEMを組み入れた新たな独立上場会社の設立を表明しており、ポートフォリオの最適化で成長機会を追求しています。加えて、2025年2月にBIOTRONIKの血管インターベンション事業を買収する契約(初回現金支払額は約7.6億ユーロ、2025年第3四半期完了予定)を締結しており、これに伴い遅延引出型タームローン500百万ドルなどを含む資金手当てと、約7億ユーロの為替ヘッジを実施して為替リスクに備えています。地域別の成長実績として、直近では2023年にアジアで約4060万ドル(前年比13.2%)の増収、EMEAで約2780万ドル(前年比5.0%)の増収が見られ、グローバル拡大が進んでいます。

技術革新への取り組みは、製品ラインの強化と製造効率化の両面で進められています。同社は臨床データに裏打ちされた製品改良や新素材・新技術の導入に投資しており、PaletteのハイドロゲルやUroLiftのようなミニマル侵襲ソリューションがその例です。同時に、原材料・人件費のインフレや製造上の非効率が粗利益に影響を与えているため、製造拠点の移転や工程合理化でコスト構造の改善を図る計画です。為替変動に対しては為替先物や通貨スワップ等を活用して損益の変動を抑える運用を行っており、研究開発投資とオペレーションの効率化を両輪にして競争力の維持・向上を目指しています。