TSAKOS ENERGY NAVIGATION LTDTEN

時価総額
PER
タンカー事業の大手。VLCC、Suezmaxなどの原油タンカー、シャトルタンカーとLNG船の運航を展開。普通株とシリーズE、FのNYSE上場、24年7月のティッカー変更、24年6月のSEC調査終了。世界主要海域、米国、欧州で展開。

事業内容

TSAKOS ENERGY NAVIGATION LTDは、船舶を保有・運航し、主に原油や石油製品、液化天然ガスの海上輸送を手がける海運会社です。同社は自社船を用いて荷主とチャーター契約を結び、輸送サービスと商業・技術管理を提供しています。

主要顧客は国際的な石油会社や国営企業、燃料トレーダーやガス・電力事業者が中心で、収益の多くはチャーター料から得ています。同社は長期のタイムチャーターで安定収入を確保するとともに、スポット市場での輸送で市況に応じた収益変動を取り込みます。

事業は主に原油タンカー、製品タンカー、液化天然ガス船、シャトルタンカーといった船種別に分かれます。同社は各船種で長期輸送やオフショア支援、LNG輸送など異なるサービスを展開し、船隊の更新や新造船の導入で事業基盤の強化を図っています。

経営方針

同社は成長戦略の中心に「艦隊の更新と拡大」を据えています。具体的には既存のタンカーや液化天然ガス(LNG)船、シャトルタンカーといった高付加価値セグメントでの保有比率を高めることを目指しており、従業員・幹部向けのインセンティブとして2024年株式報酬制度を導入し、最大1,000,000株の付与枠のうち625,000株を付与しました。付与株は4回に分けて25%ずつ(2025年1月1日、2025年7月1日、2026年1月1日、2026年7月1日)で権利確定し、業績条件として「フリート稼働率85%以上」を設定している点からも、稼働率向上を成長目標の数値目標として明確に掲げています。

同社は重点投資分野としてLNG船やシャトルタンカー、長期傭船(定期チャーター)を挙げ、安定収益と市場変動耐性の両立を図っています。差別化策としては高品質な船舶を保有し、大口顧客との期間契約を重視することでスポット市場の変動リスクを緩和する方針を取っており、金利や燃料費変動に対してはヘッジ手段を用いるリスク管理体制を構築しています。さらに、商業・運航面ではTsakosグループとの関係を活用して長期案件の獲得と運航効率の向上を図ることで、他社との差別化を図っています。

同社は新市場の開拓と事業拡大に際して、買収や新造船への投資を積極的に検討しています。経営陣は補完的な船隊や企業の買収を通じた規模拡大を目指しており、そのための資金調達手段として債務や株式発行を組み合わせる計画です。ただし買収には資金調達の困難や未知の負債引受けといった課題があることも認識しており、当局対応や投資家の期待に応えるためにコーポレートガバナンスやコンプライアンスの強化も並行して進めています。資金面では過去にバンカー・スワップの早期終結で約9,912千ドルの現金を確保するなど流動性管理も実施しています。

同社は技術革新と運航のデジタル化にも投資を行っており、とくにサイバーセキュリティや運航効率の向上を重視しています。サイバー対策では従業員教育、ネットワークやアクセス制御などの技術的対策、継続的な監視と外部専門家による評価を組み合わせ、監査委員会が統括するガバナンス体制を整備しています。また燃料効率や排出削減のための技術導入や運航最適化に投資し、環境規制対応と運航コスト低減を両立させる方針です。なお株式報酬に関連する会計処理として、2024年の株式報酬費用は8,126千ドル、未認識の報酬費用は8,089千ドルと開示されており、インセンティブを通じた技術・運航改善の定着を図っています。